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トロントの各界で活躍する著名人にインタビュー

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永田 清
Kiyoshi Nagata
和太鼓奏者
祭り気分を高める笛と太鼓の音。新年を迎えたトロントで、日本の伝統的な音楽を広めるキヨシ・ナガタ・アンサンブルのリーダー、永田清氏にお話を伺った。

10年前、和太鼓の魅力に取り付かれ、日本へ修行に出掛けた日系カナディアンの若者がいた。彼は日本語もままならない中で、和太鼓のトップグループ『鼓童』へ見習いとして参加する。
「日本語が思うように話せないということも大変でしたが、練習についていくのはもっと大変でしたね」

永田氏は当時を振り返って語る。
「毎日朝4時30分に起きて、10qのランニング。そして9時から夜の10時まで、13時間に渡る太鼓の稽古が週6日続きます」
その厳しい練習の中で永田氏の心に芽生えた目標。それは、日本で習得した和太鼓の技術をベースに、もっと独創性の高い太鼓音楽を作ること、そして自作の曲を自分のグループで演奏し、和太鼓の素晴らしさをカナダに広めることだった。

「カナダなど、海外に住んでいる人は和太鼓に触れる機会があまりない。だから、その良さを広めるために何らかのフェスティバルから声が掛かればそこで演奏したり、トロント大学音楽科で教鞭をとったりしています。僕が初めて和太鼓の音色を聞いたのも、トロント市が主催するフェスティバルだったしね」

永田氏が初めて和太鼓を知ったのは12才のとき。フェスティバルでの演奏のために日本からトロント市を訪れた、長野県の和太鼓グループの演奏がきっかけだった。

「感動したね。凄く興味が湧いて、すぐに日系文化会館の和太鼓教室に通い始めたんだ。そしてカナダでプロとして演奏するようになったんだけど、初めは賭けもあったよ。太鼓だけで食べていけるかどうかなんて、誰にも分からないからね。特に、この世界で成功することはとても難しい。だから、もっと自分の技に磨きをかけるために、そして本物の和太鼓の音を習得するために日本に行って修行したんだ」

日本の和太鼓トップ・グループの一員として練習することで、プロとして演奏し続けることの大変さと共に面白さを実感した永田氏は、カナダに戻り、自らグループを設立するためにメンバーを探しはじめる。

「グループのメンバーは少ない方がいいと思った。和太鼓は高価なものだから財政的な理由もあるけど、それ以上に音楽面で、アンサンブルを作りたいのなら5人ぐらいがちょうどいいと思ったんだ。皆がそれぞれ、違う音を奏でているのがよく聞こえるからね。締太鼓、宮太鼓、笛、当り鉦(あたりがね)。僕らが演奏する音楽は、これら全ての違う楽器の音が融合されて、一つの曲となるんだ」

日本に馴染みの浅いカナダ人のあいだでも、徐々にその名が知られつつある『キヨシ・ナガタ・アンサンブル』。既にトロントでは各イベントに引っ張りだこだ。

「トロントではやっと知名度が上がって来たけど、まだまだ。太鼓はとてもユニークな楽器なんだ。世界中にバイオリン奏者や、素晴らしいピアニストは大勢いる。でも太鼓奏者は、バイオリンやピアノ奏者の数よりも少ないよね。だから、僕の目標はもっと太鼓を広め、それによって太鼓奏者全体のレベルを上げていくことなんだ」

永田氏は、自らの演奏レベルについて、10段階のうち6か7までしか行っていないと語る。
「僕が今、レベル10に到達しているということは絶対にない。一生太鼓を演奏して、一生、演奏の腕を上げていきたいからね。レベル10は存在しないのかもね。でも、もしレベル10が存在していたとしても、そこに到達したとたんに直ぐにレベル11や12が出来て、いつまでも頂点に辿り着くことは無いと思うよ。それぐらい音楽とは奥が深いんだ」

永田氏の言葉を聞き、隣で頷くメンバー達。アンサンブルで演奏される曲の多くには、メンバーそれぞれが持つ様々なバック・グラウンドが組み込まれている。
「三味線や唄が出来るメンバーがいれば、僕が生徒になって教えてもらっています。新しい風をグループの中に取り入れるのは良いことですね。そうすることで、もっと面白い音楽を作ることができると思うから」

前向きな姿勢を常に持ちつづけ、厳しい練習の成果を発表する場であるコンサート活動も精力的に行なっている。特に今年は、1月にトロント市でコンサートを開いた後、2月にはイタリアへ出掛け、国内5ヶ所でツアー演奏の予定だという。
日本とカナダの掛け橋となるだけでなく、世界へもその翼を広げ始めた彼ら。今年もより一層の活躍が期待できそうだ。

インタビュー/西尾 裕美
永田 清
Kiyoshi Nagata
和太鼓、篠笛、尺八奏者。キヨシ・ナガタ・アンサンブルのアーティスティック・ディレクターとして、5名のメンバーを率いる。太鼓演奏では20年以上のキャリアを持つ。98年よりトロント大学音楽科にて太鼓を、03年からはトロント市のRoyal Conservatory of Musicにて一般コースの教鞭をとる。その他、多くの大学や和太鼓グループより招待を受け、ワークショップやレクチャーも行なっている。従来の日本の伝統芸能としての基礎を持ちつつも時にはその枠にとらわれず、ダンス、劇場、映画やラジオと一体となる彼の音楽は、カナダ内外の各紙誌より絶賛され続けている。ソロとして活動するだけでなく、アンサンブルとしても昨年末の「City of Toronto's Calvacade of Lights Festival」など数々のフェスティバルに出演する。
サイト:http://www.kiyoshinagata.com
 
Information
■フルコンサート(World Music Concert Series)
日 時:1月22日(金)20:00〜
場 所:Royal Conservatory of Music(273 Bloor St W. )
連絡先:tel. 416-408-2824 (内線)321
チケット:大人 $15、学生・シニア $10

■ミニ・パフォーマンス
日 時:3月10日(水)
場 所:Markham Theatre for the Performing Arts
(171 Town Centre Blvd., Markham)
連絡先:tel. 905-305-7469、1-866-768-8801

■モントリオールのパーカッショングループGaPaとの
ジョイント・コンサート
日 時:3月19日(土)19:30〜
場 所:University of Toronto at Scarborough
The ARC Theatre(1265 Military Trail)
連絡先:tel. 416-978-8849
チケット:前売り 大人 $10、学生・シニア $6
当 日 大人 $12、学生・シニア $8

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