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トロントの各界で活躍する著名人にインタビュー

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Norihisa Taguchi
田口 師永
スキッピング・ロープ・アーティスト

縄跳び、そしてキダムを愛する日本人アーティスト
僕らの掛け声や息遣いを、そして全体の素晴らしさを、ショーを観たまま感じてほしい


1984年カナダ・ケベック州で数人の大道芸人により設立されたシルク・ドゥ・ソレイユ(=太陽のサーカス、以下シルク)。現在は、日本人4人を含めアーティストは700名を越え、世界で12のショーを並行して行なう驚異のエンターテインメント集団となった。12のショーそれぞれにはコンセプトがあり、サーカス、アート、ライブ、ミュージカルなど、様々なエッセンスが融合した、芸術的で神秘的な独特の世界観が創り出される。今回はそのショーのうちの1つ、『Quidam(キダム)』で活躍するスキッピング・ロープ・アーティストの田口師永さんに、シルクの魅力や裏側など、お話を伺った。

―スキッピング・ロープ(縄跳び)との出会いについて教えて下さい。
「体操は小・中・高と10年やっていましたが、縄跳びは小学校時代に少し得意だっただけ。大学では体育学部でしたが普通の大学生。それが、卒業して1年間、社会人として働いていた2000年に、大学時代の後輩から『縄跳びやりませんか?』って電話がかかってきた。彼は卒業後、縄跳びに興味を持って、単縄(1人)でパフォーマンスをしながら仲間を探していたんですが、普通いきなり『縄跳びをやらないか』と電話なんてかかってきませんよね(笑)。最初は、縄跳びって!? と思いましたが、久々に彼と会うことになりました」

―じゃあ彼から1本連絡がなければ、縄跳び人生が始まっていなかった?
「そうですね(笑)。次の日彼が『飲む前に体でも動かしませんか?』と早速かばんから取り出したものが、縄跳びと縄跳びのデモンストレーションやショー的な映像を集めたビデオ。小さな公園で彼に次々と想像外の技をやられ、映像にも魅せられて、縄跳びの世界へと惹き込まれました。その後僕は彼とチームを組み、日本各地で活動を始めて、会社を辞めました」

―なぜそこから『キダム』に入団することになったのですか?
「ある知人から、シルクが03年『キダム』日本公演のために、縄跳びの演目を行うペアを探していると聞き、活動のデモテープを送ったのがきっかけでした。結果が出るまでは2人が受かるか落ちるかだと思っていたのですが、どちらかを選ばなければならなかったらしく、結果的に僕はシルク、彼は日本で縄跳びを広めていく道を歩むことになりました。シルクのショーはそれまで1度も観たことはありませんでした。実際生で観たのが『キダム』のアメリカ・タンパ公演。なんてすごい世界なんだ…って、感動して涙が出ました」

―そしてついに03年に、『キダム』日本(東京)公演でデビューされましたね。
「本当に緊張しました(笑)。とにかく自分の演技をやることにしか集中できず、お客さんの反応すらもわからなかったんです。『キダム』初の日本公演に日本人1人、それがどれだけ大きなことか分かりませんでした」

―その頃に比べると今は余裕も出てきましたか?
「今まで7カ国周りましたが、国や都市、1回1回のショーによってもお客さんの反応は違う。経験していくうちに、お客さんとのコミュニケーションがとれるようになってきましたね。今の僕のポジションはスキッピング・ロープのキャプテンであり、コーチであり、アーティスト。当時から比べると役割も増えました」

―『キダム』に入って約4年、何か行き詰まったり悩んだりしたことは?
「うーん、悩みってなんだろう? それを考えるのが悩みです(笑)。好きな事を毎日やっているから楽しいし、悩みなんてないですよ! 24歳で縄跳びに出会って、自分を表現する手段を見つけ、仕事に繋がって…。まだまだ4年、やり足りないですね」

―シルクのアーティストの生活スタイルや、練習スケジュールを教えてください。
「シルクには固定と移動のツアーがあります。ラスベガスのホテルで固定のショーに出演しているアーティストは、近くに家を持っています。ツアーで世界を周っているアーティストの場合、国から国への移動の合間は少し休みがとれますが、1年のほとんどはホテルに缶詰めですね…。バックステージには練習場はもちろん、キッチンやシャワーがあり、お医者さんもいます。
結婚して子どもがいるアーティストもいるので、学校もありますよ。こうしてステージに集中できるよう、スタッフによって最高の環境が整えられていることは、幸せなことだと思います。
練習スケジュールは公演や演目によっても違いますが、スキッピング・ロープの場合、基本的にステージが使えるのは1週間に1度30分。1日2公演を行なう日もあるので、長時間は使えません。ショーが始まったら、出番に合わせたウォーミングアップを行ないます」

―最後にずばりシルクの魅力、そして田口さんの夢は?
「(シルクの魅力は)会場を大きくしすぎないこと、トップレベルのクオリティーを持ってきていること。ステージ近くから観ると僕達の息遣いや細かい演技が、後ろから観れば全体の雰囲気が感じられる。それぞれのショーは全て違ったコンセプトで創られているので、何をどこから、何度観ても楽しめます。…夢? 今自分がやっていることそのものですね。夢は叶って終わるものではなく、叶ったものを続ける情熱が必要。続いていくものだと思います」。





〈インタビュー/平塚 敦子〉

たぐち のりひさ
1976年1月8日生まれ、東京都出身。順天堂大学卒業後、2002年Cirque du Soleilと契約、2003年『キダム』日本(東京)公演でスキッピング・ロープの演目でデビュー。8月13日までのアメリカ・フィラデルフィア公演後は、8月24日から9月17日までシンシナティで公演予定。
サイト: www.cirquedusoleil.com

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