トロントの東郊、ダンフォースアベニューとペイプアベニューが交差するエリアは北米最大級のグリークタウンとして知られている。たくさんのギリシア料理レストランが凌ぎを削るこの場所に12年間も続く”ギリシア料理ではない“レストラン「Lolita's
Lust」はある。天井からぶらさがる裸電球、真っ赤な壁に飾られたアート、そして美しくセットアップされたテーブルが、何とも言えずファンキーでクールな雰囲気を醸し出している。各メディアで”セクシーなレストラン“と評されているのも納得。”五つ星の料理をジーンズで食べられる店“をコンセプトとしたこのレストランから今日は、オーナーのサムもお勧めの魚料理「ベイクド・ハリバット」を紹介したい。
北米で大人気の巨大魚!?ヒラメ科のハリバット
ハリバットと言えば、フィッシュ&チップスでおなじみのヒラメのような白身魚で、普通でも13キロ位、大きいものだと300キロ近くまで成長する魚。店では大西洋で取れたクオリティの高いものを一匹丸ごと仕入れ、メニューにある料理を作る以外にもダシを取ってスープのベースにしたり、スペシャルメニューを作るという。
「ベイクド・ハリバット」では肉厚なフィレを使用する。まずは塩とコショウで下味を付けた後、ベジタブルオイルを引いたフライパンでサッと火を通す。高温で2分程焼き、表面が黄金色になってくるあたりでフライパンごと、オーブンへ。あらかじめ230℃に温めてあったオーブンで4分から5分焼く。スーシェフのデイビットによると、肉厚な白身魚を焼く時は火を通す具合の見極めが料理の全てを決めると言っても過言ではないらしい。彼はオーブンの前から離れることなく数分間待って最後に一度ドアを開け、焼け具合をチェック。素材のジューシーさを損なわない焼き方が大事なのだ。
アプリコットソースとサラダで爽やかに
プレートにアルグラ(別名ロケット、日本ではルッコラ)とプラムトマトのサラダを盛りつけ、ドレッシング代わりのホームメイド・パセリオイルを少しふりかける。アルグラ・サラダのベッドの上にちょうど良くグリルされたハリバットを乗せたら、仕上げにアプリコットチャツネをかけて完成だ。
白身魚に果物という組み合わせは意外だが、試してみるととても良く合う。アプリコットチャツネはアプリコットをジャム状に煮たソースで、アプリコットとクローブやシナモンなどのスパイス、ジュニパーベリーと呼ばれるピリッとした香りに特徴がある木の実などを混ぜ、オレンジジュースで煮詰めて一晩寝かした後、翌日に新鮮なコリアンダーやガーリックを加えて出来上がり。甘いだけでなくバランスの取れたスパイスの風味があり、サッパリとした白身魚と好相性だ。
料理だけでなく、サービスも気取らず心地よい「Lolita's Lust」。ディナーはもちろんバーラウンジとしての利用もでき、夜遅くまでオープンしているのも嬉しい。ハイクオリティーな料理をリラックスした雰囲気の中で楽しめるお勧めのレストランだ。
〈文・写真/大村 絵理〉
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