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「Take Me Out To The Ball Game 〜 GO!GO!ブルージェイズ〜」
1977年、モントリオールに次ぐカナダ2番目のメジャー球団として誕生した我らがトロント・ブルージェイズ。

GO!GO!ブルージェイズ
1977年、モントリオールに次ぐカナダ2番目のメジャー球団として誕生した我らがトロント・ブルージェイズ。85年、89年、91年のリーグ優勝を経て、92年にカナダ初のワールドシリーズ優勝という偉業を成し遂げる。
そして連覇を賭けた翌年のワールドシリーズ、対フィラデルフィア戦。1点のリードを許し迎えた最終回。伝説の打者、ジョー・カーターの逆転サヨナラ・ホームランでジェイズが劇的な逆転勝利を収め、2年連続でメジャーリーグの頂点に輝いた。あの黄金期から10年、かつての名門は不調という長いトンネルの中で、今もなお、その出口を探しつづけている。
現在、ア・リーグ東地区3位。シーズン後半戦にさしかかった今、ジェイズを愛するトロントニアンたちの応援がスカイドームを激しく揺らし、再び選手たちを後押しする。勝利へ向けて、そして待望のプレーオフへ、CHARGE!

7月8日火曜日、晴れ。さんさんと照る太陽の下、屋根をオープンさせたスカイドームのフィールドには、ストレッチをする選手達の姿があった。


試合開始まであと3時間。5万516人収容のこの巨大スタジアムに、まだ観客の姿はない。聞こえるのは鮮やかな緑の人工芝の上を走る選手達の足音だけ。フィールドに立って5階まである客席を見上げながら、360度観客に囲まれて大歓声を浴びる選手の気持ちを想像してみる。今日の試合ではどんなドラマが繰り広げられるのか、期待に胸が高鳴る。
これまでの成績は48勝41敗、アメリカンリーグ東地区の5チーム中3位である。3連敗で迎えた日曜日のオリオールズ戦で、延長の末に勝利を収めたこともあってか、チーム全体の雰囲気は思ったほど悪くない。黙々と練習を続ける彼らの姿には、今日のレッドソックスとの試合に賭ける意気込みが感じられる。
7時5分、国歌斉唱と始球式に続いてプレイボール。
試合前の興奮でざわめいていた客席が、ジェイズのエース、ハラデイ投手の登場と同時に静まり返った。現在12連勝中で注目を集める彼は、テレビで見るよりもかなり大きい。キャッチャーが投球を受ける度に響く「バシッ」という音が、今、眼の前で試合が行われているのだということを実感させてくれる。

1回裏、ジェイズの攻撃でスチュワートがヒットを放ち、デルガドのタイムリーヒットで先制。いきなりの得点に思わず立ちあがる観客も多く、スカイドームは大いに沸きあがる。その瞬間、ブルージェイズという1つのチームとファンとの一体感が、五感を通して伝わってきた。多くの人々が球場に足を運ばずにはいられない、見えない力がここにはある。
その後、1対0でジェイズがリードしたまま5回を終える。今日はジェイズにしては動きの少ないゲーム展開だ。高い攻撃力で知られるジェイズのチーム打率は.291で、アメリカンリーグ14チーム中2位である。しかも相手はチーム打率1位のレッドソックス。両チームがガンガン打っていく打撃戦が予測されていたのだ。タイプの似たチームだからこそ、お互い一歩も譲らない緊迫した試合になっているのかもしれない。

6回表、レッドソックスのミラベリ選手のソロホームランで1対1の同点になる。ここからが正念場、ジェイズも負けずに得点のチャンスをつくり出す。その度に電光掲示板に表示される「Charge!」や「Let's Go Blue Jays」といった応援コールを叫ぶ度に、ジェイズに勝って欲しいという思いが大きくなっていくのを感じる。
同点のまま迎えた9回。レッドソックスにこれ以上の得点を許さないまま9回表を終えたハラデイ投手に、スタンディング・オベーションが巻き起こった。残念ながら勝ち投手の権利は得られず、13連勝にはならなかったものの、今後の試合で記録を更新するチャンスは残されている。そして何より、9回投げきって強豪レッドソックスを1点に抑えたことは賞賛に値する。
9回裏でもジェイズが得点することはできず、試合は延長戦にもつれこむ。無得点のままジリジリと進む試合を、固唾を飲んで見入る人々。唯一客席がリラックスしたムードになるのは、ファウルボールが飛んだ時だけだ。バッターボックスの真後ろを除いて客席前にネットが張られていないこの球場では、ファウルボールが客席に飛ぶ事も多い。ボールの行方を目で追うと、グローブを持った観客同士がボールの奪い合いをしている。こんなハプニングを見ることができるのも、生の試合ならではだ。

そしてついに12回のレッドソックスの攻撃で試合が動いた。連続ヒットでデモン選手がホームイン。その瞬間、ジェイズファンからは失望の「Oh, No!」の声が。しかしまだ諦めない。子供から大人まで一丸となって、「ブルージェイズ頑張れ!」と必死に祈る。そこには、言葉では言い表せない感動があった。野球というスポーツを通して、知らない人同士がここまで喜怒哀楽を共有できるという体験は、とても新鮮なものだった。
12回裏、ジェイズの攻撃が始まり、客席の緊張もピークに達した時、試合前の選手達のコメントをふと思い出した。何かファンへのメッセージはあるかという問いに対し、多くの選手が「応援に来て欲しい」ということを口にしていた。何よりも、スタジアムに満ちたあの興奮が、選手たちを奮い立たせる起爆剤になる。観てくれる人がいるから、応援してくれる人がいるからこそ、100%の力を出して頑張れるのだ。

結局、12回裏で得点することはできず、2対1でレッドソックスの勝利に終わった。3時間半にも及ぶ緊迫した試合を終え、口数も少なくクラブハウスに戻るジェイズの選手達。彼らの表情には、今日の試合結果を残念がる気持ちよりも、次の試合への闘志が表れている。今シーズンもやっと折り返し地点を迎えたばかり。このところ調子の出ないブルージェイズだが、シリーズ後半戦で挽回して現在2位のレッドソックスに追いつくことができれば、プレーオフ出場も夢ではない。ファンの大歓声を背に、日々挑戦し続ける選手達の熱い戦いはまだまだ続く。


文=後藤美穂
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