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「Fly High Like a Bird 〜大空を描く飛行機家たちのロマン〜」
人類の飛行史の大きな転機は、今からちょうど100年前の1903年に達成されたライト兄弟の動力飛行成功にある。

空時代の幕開け
飛行機には最先端の科学技術が詰め込まれている。現在は、誰もが旅客機によって簡単に快適な空の旅を行なえる時代だ。一度に何百人もの乗客を運ぶジャンボジェット機に設けられている自動操縦装置や、パリ-ニューヨーク間を僅か4時間足らずで飛行してしまう超音速旅客機コンコルドの性能などを考えると、人類は空を完全に手に入れたと言える。
人類の飛行史の大きな転機は、今からちょうど100年前の1903年に達成されたライト兄弟の動力飛行成功にある。偉大なる天才レオナルド・ダ・ヴィンチを始めとして、多くの先人たちが夢見てきた『空を飛ぶ』という人類のテーマは、彼らがエンジンと木と布を使って作成した『フライヤー』で大きな前進をみせた。当時は彼らだけでなく、欧米の各地で多くの発明家が空を飛ぶことに情熱を注いでいた時代。この人類初飛行のわずか10年後の第一次世界大戦には、飛行機は戦闘機として進化を遂げた。
この時代に作られた初期プロペラ機に搭載されている技術は、今とは比べようもない脆弱さだ。しかし、機体には『空を飛ぶ』ことに対する純粋な感動と、そこに映し出された創造力のたくましさが体現されている。
旧式飛行機の魅力
そんな旧式の飛行機に魅了される人は多い。50年以上のパイロットとしてのキャリアを持つ、ジェリー・フォザリネアムもその一人だ。今年で73歳の彼は現在もプロペラ飛行機の現役パイロットである。
「最近は年のせいで、腕も落ちつつあるよ」
と目を細めて笑う彼だが、その足取りは全く年を感じさせない。
ブランプトン飛行場にある『Great War Flying Museum』には、彼と同じ思いを持った人々が集まっている。ここでは現存する設計図を元に、第一次世界大戦期に作られた飛行機を当時と同じ材料を用いて手作りで作成する。それぞれの専門知識を持つ熟練のパイロットや技術者たちによって作られるプロペラ機。多くの手間と時間を必要とするが、乗り心地は決して良くはない。
「バランス感覚が大切なんだ」
滑走時の機体の揺れに、飛行中の風の影響。それらといかに上手く付き合うかに、この飛行機の操縦はかかっている。また、地上で羽を休める鳥の様に、前方より後方の位置が低いため、着陸の時には細心の注意が必要とされる。
「やり方さえ解っていれば簡単だよ」
さらりとジェリーはそう言うが、これらの特殊な操縦技術を習得するためには、専門のトレーニングと経験が必要になる。
手の平に感じる空
最新の飛行機とは比べようもないアナログ構造の機体。例えば、飛行機の進行方向を操作する補助翼。これを上下させるために取り付けられているワイヤーは、コックピットの操縦桿に直接つながれている。歴史が真空パックされた機体を駆るジェリーたち。だが、彼らは単に古きを懐かしんでこのような事をしているのではない。純粋に『空を飛ぶ』ことを追いかけている。
「新式の飛行機とは違って、旧式機は自分次第で飛ぶからね」
ジェット機は飛行機が人を飛ばすが、プロペラ機は人が機体を飛ばすのだといわれる。そんなプロペラ機の中でも彼らが駆る初期プロペラ機は、人が風と共に飛ばす飛行機なのだ。全身に風を感じ、翼の動きを操縦桿から手の平に感じる。そのようにして空を飛ぶ姿は、人々が抱き続ける大空への想いそのままであるといえる。骨董品のような機体の作成や維持には相当の労力を要する。だが、自分自身で作って乗る楽しさは何物にも代えがたいとジェリーは言う。
機体に教えられるロマン
一つ一つのパートを設計図を読みながら作っていく手作業。その工程の中で、彼らはそれを造った100年前の技術者と向き合う。
当時の飛行機設計は創成期らしい、ユニークなアイディアに溢れている。いかに機体を軽くして、限られたエンジン出力の中で効率よく空気の抵抗と付き合うか。手探りで進められていた当時の飛行機の設計構造は大きな変化を繰り返していた。飛行機の命ともいえる主翼の枚数も、左右それぞれに2枚のバイプレイン式から3枚のトライプレイン式と試行錯誤が続いた。しかし、全ての飛行機が、飛行機競争に世界中が沸いていた当時の技術者たちが作り上げた知恵の結晶だ。飽くなき空への挑戦が滲み出ているそれらと触れ合うことで、ジェリーたちは先人たちの情熱に刺激され、その情熱を糧に空の旅へと向かっていく。そして、情熱の連鎖は絶えることなく新しい世代へと受け継がれる。
「あの飛行機から見下ろす地上の眺めは、ため息が出るほど素晴らしいんだ」
と、ここで機体整備などの見習い作業をしているハリソン少年は、熟練のパイロットが飛ばすプロペラ機を見上げながら、いつの日か自分が操縦する日を夢見る。
世紀を越えたプロペラ機は、それを受け継ぐ新しい者たちの追い風を受けて、今日も高く大空に舞う。

文=平井 健一
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008 大空を描く飛行機家たちのロマン
 
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