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コラムバックナンバー 2003年特集記事

011「月額$350地下収容所(食事無し)」

photo先日、遂に引越しを決意した。
「俺ベイスメントに住んでんねん」と云うより「俺、地下生活者やねん」と云う感じになってきた自分に気付いたからだ。日本で家の地下室と聞くと私は、いずれ起こりうるとされる核戦争に怯えている、実に裕福な家庭が設けた地下シェルターを想像してしまう。然し、こちらでは裕福な家庭に限らず、何処の家にもほぼ100%に近い割合で『ベイスメント』と呼ばれる地下室が存在している。家によって確実にその見掛けや雰囲気は異なるが、私の安家賃の住家は、地下シェルターとは程遠く、十数人で一斉に蹴ったら簡単に潰れてしまいそうな感じだ。所々穴の開いた床、通行人の足元しか見えず、自分の目の高さよりも上の方にある小さい窓、シェアメイトのインド人が料理をしていない日ですら玄関を開けた瞬間、カレーの臭いが漂う程の風通しの悪さ、そのインド人が彼女と楽しくシャワーを浴びる音をクリアサウンドで楽しめる薄い壁、とまるで『お茶目な収容所』という感じであった。それでも、世界淋しがり屋ウェルター級チャンピオンの私向けと云った感じで、一人暮らしにも関わらず帰宅した際に『ただいまぁ〜』と云ってしまっても、河川敷等に設置されている仮設便所と同じ臭いがするシェアバスルームからの生温かい風が『おかえりぃ〜』と優しく迎え入れてくれる。その上「こんなんファーブルも発見してへんのちゃう?」と、自分の目の前に在る物がもしかしたら世界的な発見かも知れないと思ってしまうような、古代生物の三葉虫に酷似した、今まで見たことのない虫(三ちゃん)が部屋に友達を沢山連れて遊びに来てくれる。「三ちゃん達とはよく『かくれんぼ』をしたなぁ〜。いつも僕が鬼で見つける度に勢い余って踏み殺しちゃうんだ。でもまた…」

ベイスメントは、夏は涼しく、快適に過ごせると聞いていたが、今年の夏が十何年振りの冷夏だった為、部屋の中は常にひらかたパーク(ひらかた大菊人形で有名な遊園地)のファイナルフロスト『マイナス30度の世界』に匹敵する程の寒さであった。ある意味、退屈する日がなくて良かったのだが、日差しが全く感じられないこの部屋に居ると、朝は起きられないわ、何か悪いことをして誰かに閉じ込められているような気分に陥るわ、家の外に出る度に『シャバの空気が一番ええのぉ〜』と出所気分で、殆ど容疑者であった。また、其処が害虫やカビ類にこそ快適で、人間には明らかに適さないことが、引越の為に動かした家具の裏にビッシリと張り巡らされた黒いカビ達を見て明白となった。
そして此間、友達が洗剤での手荒れと思っていた私の手を見て云った。
「手にカビ生えてるやんっ!」
それ以来、酢で手を洗っています。
(*良い子の皆は真似しないでね)

最終更新日 : [11/30]
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