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コラムバックナンバー 2003年特集記事

013「賄い白米素敵な計らい」

photo『北米で働く日本人』と云うと何とも聞こえ良く、「全く違う人種に囲まれ、ネイティブ並みの英語を巧みに操り、左ハンドルの車を乗り回している」という想像をし、「日本で出来ない経験を海外でしてこそ意味がある」と沢山の人が考えるに違いない。

昔、奈良で一人暮しをしていた頃、調理補助のバイトをしていたこともあり料理は苦手では無く、高級料亭の味とでも言うべく 柔らかな味が舌の上でいい塩梅に溶け広がっていく 茶碗蒸しを作れてしまう程の自炊可能人間である。然し、その味を誰とも共有出来ない虚しさが私を自炊から遠ざけた。そんな中、独りで噛み締め切れない悲惨な味の白菜の煮物を作ってしまい、それを誰かと共有しようとタッパに詰め、「私でこそ全部は無理だが、彼等なら喜んで食べてくれるだろう」と、奈良公園に住む鹿たち(25頭位)を呼び集め、「さぁほら!ご馳走だよ!」とタッパの蓋を開けた途端、突然、銃声でも聞いたかのように一斉に猛ダッシュで逃げ出し、真夜中の奈良公園にポツ〜んと完全に独りにされてしまったことがある。その時に感じた寂しさと空しさに加え「鹿も食わない物を作ってしまった!」と自分の過ちを悔いたことが、完璧に私を自炊嫌いにさせた。そんな自炊虚無感悔恨人間、且つ「お好み焼きと白御飯」など当然で、何なら炒飯や寿司をおかずに白御飯が食える程の白米至上主義の私にとって、海外で「いらっしゃいませ」と日本語を使ってでも、日本食屋(賄い付き)で働くことは全く意味の無いことでは無かった。

そんな私が働くことになった日本食屋はまだ新しく清潔感が漂っており、寿司屋らしく寿司ネタの書かれた木札が壁に並べられている処。「とびこ」の横に「ざるそば」と書かれているだけでなく、「いか」と「たまご」の間に「親子丼」と書かれていたりする何ともシンプルで洒落た感じの店内で、厨房は食が萬里を越え過ぎて『餃子の王将』以上に中国語が飛び交っており、北米生活7年の厨房料理長の英語力は you're welcome!"が「イワカン(違和感)」と聞こえてしまうぐらい飛び抜けていて理解出来ず、鼻毛はバカボンのパパ以上に飛び出している。衛生面に気を遣う厨房の主は、見た目不衛生極まりない。

自炊の必要は無くとも、流石にそんな環境で「Twoカツ丼」とか云いながら働いていると、一体自分がカナダに何をしに来たのか分からなくなる。そして先月、一念発起仕事を辞め、本当の意味での『北米で働く日本人』を目指し、40枚の履歴書で本格的に職探しに挑むことにした。それは餓死寸前になりかける程、予想以上の困難を極めた。

そんな私の新しい仕事。それは鼻毛満開中国人に「One えだまミ、プリーズ!」挫折で同じ寿司屋です。

最終更新日 : [01/07]
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