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044「冷やし便座か慎重に測定」

photo日本に有ってカナダに無いものの代表と云えば、”あったか便座“であろう。何が嫌いって、和式しかない公衆便所の場合、西洋文化を求めて障害者用の便所を何の躊躇いも無く使う程”絶対洋式派“の私が、産気に限りなく近い便意をもよおし、便所に駆け付け下半身を剥き出しにして、準備万端の状態で勢い良く腰を掛けたときに、便座が氷点下並みの冷たさで心臓が止まるかと思う程身体が瞬間的に凍え、その驚きにより肝心の”固体“よりも先にチョロっとだけ”液体“を出してしまったときの、小学校6年間同じクラスだった同級生のT君を思い出しての、自己嫌悪度合いが嫌い。

あれは4年生の身体測定の時であった…。
「じっとしなさい!」と、身長測定担当の先生がT君に対し声を荒げた。皆の注目を全身に浴びたパンツ一丁のT君は、身長測定器のアルミ柱がかなり冷えていたようで、裸の背中をあてるのを幾度となく躊躇し、身悶えを何度も繰り返していた。然し、そんな彼も事の限界を察し、気持ちを切り替え、再度『冷や冷やアルミ柱』に挑んだ。そして、先生が慣れた手付きで測定用の黒いプラスチック部分を彼の頭頂点部に向け下げて来た時…。
血が吹き出るのではないかと思う程の力で下唇を噛締め続けるT君の身体が細かく痙攣し出したかと思えば、突然、白目を剥き「はああああ〜」と、脱力感と安堵感の入り混じった声を発し、彼は足元に後先考えず豪快に水溜りを作った。
不幸中の幸いとはよく言ったもので、時期が室内でも充分寒い3学期であった為、T君の下半身から仄かに上がる湯気が、『失禁』という羞恥の極みの筈が、ケンシロウとの勝負に挑む世紀末覇者・拳王の”闘気“のように映り、いじめられっ子的な存在であった彼の漲り過ぎて溢れ出た戦闘力のように見えるという奇跡が起きた。
然しその直後、T君は2人係りで両脇を先生に抱えられ、少し宙に浮いた状態でつま先から雫を垂らし、泣き喚きながら、何処かへ連れ去られて行った。
和式はそんなT君気分を味わう心配は無いが、あの座りを継続させる辛さよりも、あの座り中に膝元まで下げたズボンのお尻のポケットから財布がいつの間にか落ち、”固体“上に寝そべっていたのを見たときの、個室での叫ぶに叫べない恐怖と、その後に”これが本当の運賃(うんちん)!“と親父ギャグで開き直れなかった自分の人間的な弱さを知ったときの痛みが、どうしても”アンチ和風便器人“にさせ続け、そのトラウマを背負って以来、小用ですら、『洋式腰掛け女式』で挑むようになった。
日本よりも洋式歴が長く、冬が寒いにも関わらず、エジソンの『必要は発明の母』という名言を完全に無視しているとも取れる程”あったか便座“を導入しようとしないカナダ人は、(別にこれはカナダ人に限ったことではないのだが)一体どれだけお尻が鈍感なのだと不思議に思ってしまうが、まぁあの「産まれてからずっと便秘に悩まされ続けて今やこんなに溜め込んでしまいました」と云うかのように大きいを通り越した巨大な臀部(でんぶ)を見れば、本当に鈍感なのだろうと頷いてしまう。


nob morley

今回はコラムに2回もダメ出しされました。理由は、出版に耐え切れないT君の描写。T君の詳細が知りたい方はサイトへ。
www.nobmorley.com

最終更新日 : [05/01]
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