bits lounge
bitsブログ、トロント在住ライターのコラム集、トロントリアルライフ、体験談etc

ホーム > ブログトップ > 49「香りを匂い、匂いが臭う」〜においとくさいの微妙な関係の巻〜
SHOP ショップ
コラムバックナンバー 2003年特集記事 お問い合わせ

当コンテンツに関するお問い合わせはこちら
■お気軽にお問い合わせください。
コラムに関するご意見・ご感想をお待ちしております。
■随時、ライター募集中!
当コンテンツでは、ライターを目指している方のコラムを積極的に採用していきますので、ご応募お待ちしております。
■PRの場をご提供
ビジネスプロモーションの一貫としてのスペースも提供しています。

これまでに執筆したライターのご紹介!
'05年バックナンバー
'04年ブログ集
'03年コラム・特集記事



49「香りを匂い、匂いが臭う」〜においとくさいの微妙な関係の巻〜

photoこの世には様々な匂いが存在する。花のように何処か平安な感じを抱かせる匂いは”香り“と称され、人々に愛される。然し、糞のように何処か安全な逃げ場を求めさせる匂いは”臭い“と記され、人々から憎まれる。
「臭い(におい)」と書いて『臭い(くさい)』と読んでしまえるこの”臭“という漢字は、使い勝手が良いのか悪いのか、受け取り側の理解力に委ねられている点がかなり多い。実際、この後の文で『臭い(くさい)』を「臭い(におい)」と読んでしまったりして、内容が脳に瞬時に流れ込まず、何処かで引っ掛かってるような感覚に陥る人が意外に多い筈である。
―女性の脱ぎたての靴を拾い上げ、本人の前で臭いを嗅ごうとすると、恥辱極まりない表情を浮かべ、半ば発狂しながら必死で抵抗してくる。この抗いが、普段日本での服は大体”M“サイズな私が、その下にアメリカンサイズで一番自分の身体にしっくりくる”S“サイズの肌着を着ているようなもので、此の時ばかりは、完全に”M“を脱ぎ捨て”S“だけになってしまう。―
人格を変化させる程の力を持った「臭い」であるが故に、人の感情をも左右することがある。オヤジ臭いなど、単純に中年のおっさんの肉体が発散する汗の臭い等、嗅いでもいないのに一般的に臭いと決め付けられている感があるが、その人に対し何らかの好意があれば、それは何処か落ち着く匂いに変わったりする。
私は事実”匂いフェチ“で、良き匂いを愛しているが、「悪臭=憤慨」という図式が常に心の中にある訳ではない。好きな女性が、何かを取ろうと座っていた状態から身を起こし腰を上げた瞬間、つい物の弾みで我慢し過ぎて自分ではすっかり忘れ去っていたガスが脳の規制や制御からはみ出す形で漏れ、軽快な音を発しながらこいでしまった屁が気を失いそうになる程臭かったとて、特に憤りを感じないどころか、逆に哀愁すら感じ、その女性が恥じらいの表情を浮かべれば浮かべる程、愛おしくて堪らなくなったりする。然し、これが嫌いな人間の屁なら、臭いを嗅ぐまでも無く「唯でさえも鬱陶しいのに、屁までこきやがって!」と単なる嫌悪感の上塗りにしかならない。
好きな人を嫌いになってしまう程の力を持った臭いもある。私にとっては”腋臭“がそれである。これは単に臭いだけを憎むのではない。あの独特の苦味と酸味を併せ持った、何物にも例えようのない悪臭を、カメムシの如く身体から発し続けていられる神経を疑ってしまうのである。「貴方の鼻は本当に機能しているのですか?」と。
ある日、一人の女性と知り合った。清廉潔白とでも言おうか、何とも純粋で純真な感じのするその女性に惚れない理由が見つからなかった私は、何とかその女性をモノにしようと、消極的な自分を積極的に変え挑んだ。その甲斐あってか、その女性と深い関係に行き着くまでそれ程の時間は掛からなかった。そして、軋まそうとするベッドの上に優しさを持ち寄りきつく身体を抱き締め合おうとした瞬間、私の脳みそが急に揺れた。彼女の胸部外側辺りから、強烈な、記憶を喪失させる程のサリン並みの異臭が…。
その後の記憶はありません。



nob morley
新喜劇出演で忙しいノブモーリーは、仕事の合間を縫うようにコラムを執筆。匂いの話題でこれだけ引っ張れる人は、あなたしかいません。
www.nobmorley.com

最終更新日 : [07/14]
▲PAGE TOP