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71「公衆の面前での電話」

photo私が日本に居て国際電話で友人に電話を掛けようとしているならまだしも、いやそれでも、昭和の電話事情が今ほど発達していないコードレスフォンも無く、町にはピンクの公衆電話、家には受話器を置くと必ず”チン“と鳴く黒電話の時代なら分かるが、電話回線を使ってのインターネットが当たり前になった21世紀で、カナダに居るのに同じ国に居る友人に巧く電話が掛けられなかったというのは我ながら何とも恥ずかしいことである。
電話の使い方は当然の如く知っていた。然し、ホテルの部屋からの外線通話の場合、或る番号を一番最初に押してからでないと掛けられなかったり、またその番号もホテルによって異なったりするように、国が違うことにより、多少掛け方に日本とは異なるルールがあったようで、カナダには長距離通話に於いてのルールが存在していた。カナダ2日目でそんなルールを知ってる筈も無く、それ故、街中の公衆電話と悪戦苦闘を強いられていた。
その際、イケ好かない風体の若い男性が電話をしている横から何の躊躇いも無く妄りに大きな声を掛けてきた。流石に気になり耳を傾け、理解しようと試みるが、英語力乏しい私の耳には雑音にしか聞こえず皆目分からない。然し注意深く聞き入ると、しきりに何かの質問をしているということだけは語尾のニュアンスで分かり、多分冗談交じりで東洋人を小馬鹿にするように「こんな風に電話してる横から話し掛けられたらやっぱり鬱陶しい?」とでも訊いているのだろうと推測し力強く"Yes!"と答えると、繋がってないとは云え勝手に電話を切られ、私が「何をするんだ!」という言葉を急いで頭の中で英訳しようとするが、突然の予測不能な出来事に呆気に取られ脳の回転率は頗る悪く、怒りよりも先に恐怖感が全身を駆け巡った為、四大感情『喜怒哀楽』の”怒“を表現する間も無い間に、釣銭口にチャリンと落ちた小銭をすんなり取られ足早に去って行かれてしまった。茫然自失とはまさにこの事で、逃げて行く若者の姿を、学校に行く我が子を玄関先で見送る親のように、角に曲がって見えなくなるまで見届け、姿の無い若者には決して聞こえない弱々しい声で「何で?」と日本語で何度も囁き問い掛けていた。
それでも、心強く持ち直しポケットにしまわれた小銭を取り出し再度公衆電話に挑みを掛ける。すると、今度は小汚い中年男性が同じように無秩序極まりなく不躾に声を掛けてくる。同じ手を食って堪るかと自信無いながらもハッキリと"No!"と言い放つと泣きそうな顔で"Please!"と付け加え実にしつこく諦めが悪い。今度こそはとジェスチャー交じりに"Telephone!"と大きな声で”怒“の感情をぶつけた。すると、流石に馬鹿ではないようで、申し訳なさそうな笑顔を浮かべながら、右手で私の電話を切り、釣銭口に払い戻された25セントを私に見せ"Thanks!"とだけ言い残し、ゆっくりと私の前から去って行った。
せめて"very much"ぐらいは付けろや!
いや、そういう問題じゃない。"very much"さえ付ければ人の金を持って行って良いとはならない。長距離通話よりも電話をしている人間との距離を先ず考えろよ!

nob morley
吉本新喜劇で活躍中のお笑い芸人。僕にとっては初めての新喜劇海外公演でタイに行って来ました。高額の入場料にも関わらず、沢山の人に来て頂いて感動!

最終更新日 : [07/04]
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