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75「事実真実現実恐怖」

photo世の中には現実を知るのが余りにも怖すぎて、どうしても真実に迫ることが出来ないことがある。
私の場合、9年間付き合っていた彼女が浮気をしているのではないかと疑問を持ったときが如何にもその時であった。出会った当初はお互い別々に居を構えていたが、付き合って5年目ぐらいに私が真剣に芸人を目指し始め、それにつれて金銭的な問題にぶち当たり、京都の実家に帰るぐらいなら親を欺いているという呵責を感じながらでも女性の家に転がり込んだ方がマシだという人間的に見て実に程度の低い結論に至り、その低度な行い(同棲生活)を大阪で平気な顔をして6畳一間の彼女のワンルームで始めることになったのだが、当然結婚を意識せずにはいられない同棲生活4年目になろうかというときに、急に彼女が仕事を理由に終電を過ぎても帰って来なくなった。月末は仕事が忙しいというのは知っていたが、今までは最低でも終電で帰って来た。それが、翌朝目覚めると私の横にそっと眠る彼女の姿は必ずあるものの、連日連夜タクシーで帰って来たのか誰かに送って貰ったのか、何時どうやって帰って来て、いつ隣で寝始めたのか一切分からない状態が続いた。疑う気持ちは幾万とあれど、朝見る彼女の寝顔は”まさかコイツに限って…“と、懐疑心を抱く自分を憎んでしまう程無垢に見え、「コイツも俺達の結婚の為に一生懸命働いてるんや。俺も頑張らな!」と逆に自分のモチベーションに火を点け、より一層仕事に打ち込んだ。
私の仕事時間が当たり前のように日々変動するが故、休みの日だけでなく、彼女の生活のリズムとは全く合わず、6畳しかない空間が電車の駅のような感じになったが、2人は新快速と普通ぐらいの違いはあっても同じ方向を向いて進む電車を同じホームで待っているものと思い込んでいたし、そこに疑いはなかったし、そう信じていた。然し、擦れ違いが度々重なり、気付けば完全に逆方向の電車に乗り込もうと向かいのホームに彼女が立っていて、声を掛けようとするも丁度入って来た電車の音に掻き消されて、声だけでなく心も届かなくなってしまったのかという疑念が両肩に乗ったかと思えば、その重みで肩がガックリ落ちきり、車窓越しにチラっと見えた彼女の姿が虚しく感じられる程、実にスムーズに逆方向に新快速が走り出す。
それでも私は、彼女が逆方向に行ったということは、帰って来るときは今自分が立っているホームで降りるということだと、取り敢えず其処で待ってみることにした。然し、車庫に向かう終電を見送っても彼女の姿は何処にも無く、寂しさだけが横たわる。そして翌日、また同じ時刻に彼女を向かいのホームで見掛ける。
知人や友人には、冗談混じりで『彼女の浮気疑惑話』を笑いながらしてはみるものの、己が実感している不安な感覚の全てを伝え切ることは土台無理で、結局は心の何処かで「そうでありませんように」と神に祈りを奉げ、心に痛みを感じながらでも彼女を信じようと努めるしかなかった。
「来月になればきっと彼女は普通に早く帰って来るようになる…」

nob morley
吉本新喜劇で活躍中のお笑い芸人。新人に脅威を感じながらも、新喜劇のサイトに4コマ漫画を公開するなど新しいことにも意欲的ですよ。

最終更新日 : [08/31]
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