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82「今の時代の運命みたいなもんだ」のつづき

photo映画の中で急勾配の坂道を走る路面電車を見れば、舞台がサンフランシスコであると、其処に行ったことが無くても分かる程、ゴールデンゲートブリッジや他の何よりもあのケーブルカーがサンフランシスコという街の象徴となっている気がする。トロントのストリートカーも同様で、日本に一時帰国し、再度トロントを訪れた時、CNタワーよりも何よりも、あの軽快とも言い難い妙なスピードで走るアナログ満開ストリートカーを見た時が一番「トロントに帰って来たぁ〜!」と感じられるような気が物凄くする。
新幹線無くして今の日本が語れないように、ストリートカー無くしてトロントを語ることは出来ない。それ程、トロントにとって重要な存在であるのは言うまでも無く、たとえ乗車する際に渡されるチケットが、見方がさっぱり分からない数字がいっぱい印字された安っぽい藁半紙の端くれのような何一つ価値を感じないものであっても、また、そのトランスファーと呼ばれる紙切れを持っていればちゃんと乗り換えが出来る筈が、ポケットの中でクシャクシャになってしまい、見た目が明らかに路上で拾ったものに成り下がっていた為、「ちゃんと運賃を払え!」と運転手にどやされたことがあっても、そして、たまに運転手が気を利かして次の停車駅の名前を言ったりするのだが、それが滑舌が悪いのか本当は言う気が無いのか、何を言っているのかさっぱり分からなかったりしても、ストリートカーはトロントになくてはならない存在である。それは、基本阪神ファンである私ですら『長島茂雄は巨人軍にとって無くてはならない存在である』と思うのと同じぐらいのレベルである。
然し、トロントで生活をしていると、恐らく一度は見掛けるであろうストリートカー絡みの痛々しい光景がある。それは、交通ルール上車道を走らなくてはならない自転車を軽快に漕いでいた人が、突然悪魔に襲われ地獄に落とされたかのように、ストリートカーの線路に前輪がカッチリとはまってしまい、操縦不能状態に陥り派手に転倒し、明らかに負傷したであろうにも、その転倒を大勢の人に目撃されたという恥ずかしさが先行してか、自転車と同時に倒れた肉体を素早く起こし、その場を先程のスピード以上の物凄い速さで走り去っていくというシーンである。自慢では無いが、私はこの光景を少なくとも5回は見ている。そして、その毎回、転倒者のことを心から心配しながらも、ストリートカーの存在に憎しみを抱かぬよう、単にその人は自転車に乗っていただけなのに「調子に乗ってるから、そういう恥ずかしい目に合うねん!」と少しだけ自分の中で笑い者にしていた。
するとある雨の日、全く同じ悪魔が自転車に乗っている私に襲い掛かり、線路に前輪が奇麗に挟まり、忙しい車道に芸術的に転がるわ、衣服はビチャビチャのドロドロになるわ、後続の車に撥ねられそうになるわでフルチンで街を闊歩する以上の恥辱を味わわされた。それでも私はトロントの景観を愛し、これからも何ら変わらぬ素敵な街で居て欲しいと願い、心の中で叫んだ。
この路面電車、ホンマに迷惑や! いっそ失くしてすっかりバスにしてしまえっ!

nob morley
吉本新喜劇で活躍中のお笑い芸人。『港町ラフォーレ』としても活躍中。M-1グランプリ2回戦(11月30日)に進出決定!おめでとう。

最終更新日 : [11/28]
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