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84「終焉女優賞」

photo読んでいけばいく程、無性に腹の立つ本というのは普通に存在するものなのか。”活字を読んだらすぐに眠たくなる症候群“故に今迄の人生で読破した本は数える程しかなく、日頃、読書というものを自分の日常から完全に外した位置に置いている私にとって、読んで腹の立った本を一冊挙げろと言われても、太宰治の『走れメロス』ぐらいしか思い付かない。然し、それは或る本に出会う迄のことで、今となれば、紛うことなく「これが私の腹立つ本です!」と胸を張って言える。
それは『ワーキング・ホリデー オフィシャル・ガイドブック』である。
この本、単なるガイドブックと侮る勿れ。前回、この本に記載されていた『トロントの母』なる人物に対する訴えをさせて頂いたが、彼女が可愛らしく思える程、ムカつくと言うよりも単純に「痛いな。コイツ!」と、”怒“の感情バロメーターが完全に振り切れ、目前に重傷の人間が倒れていれば、手を差し伸べ「大丈夫ですか?」の一言ぐらいは掛けようとするものだが、単に冷たい視線で「かわいそうに…」と同情するしかなくなってしまうような女性が体験者として帰国後のレポートという項目にコメントを書いていたのだ。
彼女は役者を目指しトロントに行ったという。この段階で、真剣に役者目指すならニューヨークかハリウッドに行くのが通説ではないのかと眉をひそめずにはいられなかったが、何処で何を目指そうが勝手である上、私も芸人という肩書きを持ってトロントに居た身なので、その女性を揶揄出来る資格はゼロだと胃袋の底からグングン上がってくる黒い物を何とか押し戻した。
彼女はある劇団のオーディションを受け見事に一発合格、役者として舞台に…、しかも日本人として海外の舞台に立つなんてそうそう出来るものではないのに、彼女の成功はそれだけに留まらず、普通の人なら簡単に根を上げてしまいそうな厳しい舞台稽古に耐えに耐え抜き、その努力の甲斐ありヒロイン役として舞台に立つことになったと言うのだ。これだけなら人は単純に彼女のサクセスストーリーとして捉えるだけなのかも知れない。然し、私には彼女の痛さがビンビン伝わってくるのだ。「私は厳しい稽古に耐え、見事主演女優の座をゲットしました」と自分で書いている段階でトロントの初冬並みの寒さを感じてしまう。然し、問題はこの後の文章である。
「これだけの成功を掴めたのは、誰よりも強い意志と夢を持っていた”私“だからこそ成し得た事で、誰でも出来ると思わないで」的な発言が記載されており、これを読んだ時、心の中に流れる穏やかな水がピキピキと音を立てて凍っていった。
おのれ何様じゃ! お前がやったことがホンマに凄かったら、そんな本にわざわざ自分で書かんでも皆が知ってるんちゃうんか? それを「私は誰よりも意味のあるワーホリ生活を過ごしました」的なことぬかしやがって! 調子に乗んのもええ加減にせぇ! ほんで、今も夢追ってトロント一の女優目指して頑張ってんのか思たら、『帰国後の体験リポート』て、お前日本に帰って来とるやないか! それでも日本で…て思って読んだら、「今は家事手伝い」ふざけんな!

nob morley
吉本新喜劇で活躍中のお笑い芸人。美容院代をケチって自分で髪を切ったら丸坊主に…。「そんな頭、役無いぞ!」と怒られた。やばいっ!

最終更新日 : [12/27]
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