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98「二人で暮らすということ〜episode 1〜」

photo一人暮らしを経ての実家暮らしは想像以上に過酷で、たった数年前まで其処で家族と普通に生活していたことが嘘のように思えてしまう程、一人での生活が何年間かに及んでしまっただけで、両親と姉と弟との日常生活の送り方が良く分からなくなってしまい、今まで好き勝手出来ていたことが、急に簡単に出来なくなってしまうことが殊の外辛く、自分がその日一日をどう過ごそうと誰の束縛も受けなかった生活が、実家だと、やれ帰宅時間は何時になるのかだの、やれ御飯はどうするのかだの、本当はこれ以上に有り難いことはないのだが、単純にわざわざ答えなければならないのが面倒臭かった。
かと言って「もぅ俺一人で全て何とかするから構わんといてくれ!」と言い放っても何の支障もなく全てを自分の思い通りに出来てしまえる程の財力など有ろう筈も無く、比較的家で御飯を食べることが多く、そういう細かな精神的矛盾が妙に圧迫されたもどかしさとなり、そしてそれが家業に無理に従事しようとするストレスから生じる胃痛を余計に重くし、止め処なく私を苦しめ続け、最終的にそれは私の吐く息のにおいを嗅いだ母親に「アンタの口、百年の恋も冷めるわ!」と罵られる程に口から悪臭を放つようになり表面化し、実生活からの逃亡に限り無く近い形で家業の手伝いも放ったらかし、『親不孝者』のレッテルを堂々と背に掲げ、カノジョが一人で暮らす大阪で養生につとめるようになった。
その大阪養生効果は歴然で、胃痛は日を追う毎に和らいでいき、それに伴い口臭も治まり、母親の罵言によって生まれた”カノジョとの恋を百年に一度のモノと信じる私がフラレてしまうかも知れない“という不安は薄れて行き、次第に6畳一間のカノジョのワンルームマンションで生活をするのが当たり前になり、気付けばそのマンション周辺でアルバイトを探していた。
新聞を開きアルバイト募集記事を眺める私の目に、一つの広告記事が飛び込んで来た。『ベストセラー小説○○待望の映画化!主演オーディション開催決定! 次世代の銀幕スターは君だ!』…元々芸人にしか興味の無い私にとって、俳優業は全く持ってどうでも良い何の魅力も無い世界であったが、その頃俳優がバラエティー番組に積極的に出るようになってきた頃で、江守徹や中尾彬、高橋英樹等がお笑い番組に出演し面白エピソード的なものを披露し場を沸かしているのを見ると、芸人よりも俳優の方がテレビ的に扱いが良く、世に出て認知されるのが早く、”芸人としてはそうでもないが、俳優としては面白い!“と思って貰えるのではないか? と短絡的に思うようになり、出来るだけ苦労をせずに金持ちになりたいと本質的に思っていた私は完全に喰い付いてしまった。然し、やはりそこは強い信念で”芸人“という肩書きに拘り、自分の履歴を記した書類を事務局に送り、返信された封筒に入った受付番号とオーディション費用3千円を持ち、大阪の或るビジネスビルの4階の廊下に出来た人の列に行儀良く並び、その列の先頭に掲げられた『○○映画オーディション会場』と書かれたプラカードに多大な夢と希望を感じていた。

nob morley
吉本新喜劇所属の芸人。毎回、締切に遅れる理由→活字を読むと眠くなる人間で、自分が書いたコラムを編集してると眠りに堕ちてしまう。(怒・編集部)

最終更新日 : [07/25]
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