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100「二人で暮らすということ〜episode 3〜」

photo数ヵ月後に銀幕デビューを約束された私の元に後日、「あなたは慎重なる審査の結果、合格となりました。この上はレッスンに励み、目的を達成される事を祈念します。色々な境遇の方がいらっしゃるようですが、何かを求める心は一つです。皆で良い仲間づくりをして明るく楽しい人生を歩みましょう」と、冒頭に本来の目的から幾分か外れた内容が記された妙に胡散臭さを感じる合格通知書なるものが届き、それには、「入所諸費用…入所金18万円、施設費5万円、授業料2万円、教材費3万円、合計28万円が完全免除。ただし宣材費として6万円を下記銀行口座に振り込んで下さい」とあり、その項目を訂正するかのように赤い の判子が上から押印されていて、赤ペンで『6万円を免除致します』と付け加えられており、私が特別な人間であると指し示していた。然し、その書類を見れば見る程不安が止まらなくなった。振込先の会社がドラマとかに出てくる架空の制作会社のような『銀座デジタルテレビプロ』という名前、そして、075から始まる会社の電話番号…その当時まだDVDも無かったアナログ主流な時代に”デジタルテレビ“という名前、そして”銀座“と謳いながら
”京都“の市外局番…胡散臭さ以外何も感じなかった。
それでも、一切の料金が掛からず無料なのであれば、例え騙されていたとしても被害は殆ど無いと、28万円相当のレッスンに映画の撮影が始まるまでの期間通うことにした。レッスンは疑いの念を抱いた私を嘲笑うかのような実に真面目なキッチリとした内容で、かっちりとした分厚いテキストに従い、発声・滑舌・演技に関して何処ぞの劇団関係者の人が丁寧に教えてくれた。そして、3ヵ月後映画撮影に磐石の態勢になった私の元に会社から連絡が…。
聞き慣れた案内係のオバサンの声が電話口から聞こえ、いよいよ私の役が決まり、撮影開始だ…と思いきや、「撮影が諸事情により3ヶ月延期になりましたが、レッスンは延長されますか?」という質問。何の迷いも無く状況を受け入れ延長すると答えた私は月々2万円を胡散臭い名前の会社に振り込むことになった。そして3ヵ月後、尚磐石の態勢になった私の元にオバサンから「監督が変更になりまして、撮影開始が2ヶ月先になりましたが、レッスンはどうされますか?」という内容の電話が…。
私を特別な人間に選んでくれたあの監督が『監督』では無くなるという不測の事態。然し乗り掛かった船をそう容易く降りる訳にもいかない私はすがるように「僕は映画に出れるのですか?」と訊いた。すると「貴方の場合は大丈夫です。ただ、撮影が始まるまで基本をしっかり身に付けて頂く為にもレッスンを継続された方が…」。こんなにも私に親身になってくれる人が居るんだという嬉しさを抱え、未来を背に、自分が免除になった6万以上の金を既に支払っていることにその時は何とも思わずレッスン料を振込み、より一層磐石の態勢になった2ヵ月後、遂に私の元に封書が届いた。
いよいよだと焦る気持ちを抑え、封を開けると2枚の紙が、そしてその1枚に『予定しておりました映画○○は撮影場所変更の為、撮影開始が来年以降になりました』。

nob morley
吉本新喜劇所属の芸人。とうとう100回目を迎えたこのコラム。「こんなに続けられるなんて思てもいませんでした。いつも本当に有難うございます」

最終更新日 : [08/15]
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