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107「私は不良ではありません。不正です。」

photo高校時代、不良という訳では無かった私は大学進学を目指し理数系を選択していた。然し、それは完全に自分のCPU(脳ミソ)の処理能力を理解していない事を意味し、その皺寄せは見事に3年生2学期の中間試験、物理のテスト結果に表れた。物理の担当教官に名前を呼ばれ教卓の方へ行くと、先生は私の何かを確認するように「大丈夫ですか?」と丁寧に問い掛け、採点された答案用紙を手渡した。全く質問の意味が分からなかった私だったが、妙に厭な予感だけはした為、誰にも見られないようにゆっくりと答案用紙を開いた。すると、書いた答えが全て間違っていたようで何処を見ても『×』しか見当たらなかった。こんな筈は無いと、焦燥感と絶望感が頚椎の辺りで蠢き始めた時、『○』が奇跡的に一つだけ用紙の右上にあるのを見付けた。”神は私を見捨ててはいなかった“仏教徒である私が都合良くキリストの存在を重んじそうになったが、神の救いの手のように感じられるその『○』の下には何故か二重線が引かれていた。
生涯初の0点であった。
この時やっと先生の「大丈夫ですか?」の意味を理解した。「”卒業“大丈夫ですか?」であった。そしてその答えは実に簡単で”大丈夫!“では無かった。ただ、もう一度言っておくが、私は不良ではなかった。
私が0点を取ったことは友人らに知られることはなかったが、教師間では専らの評判となっていたのか、全く接点の無い先生から「卒業出来んのか?」と訊かれる始末。こうなったら、次の期末試験までにちゃんと準備を整え、今回の補填を出来る程の高得点を取るしかない。そして、期末試験当日、完璧とまでに準備を整えた私は、物理の試験中、試験監督である担任に持ち物の一部を奪われ「後で職員室に来なさい」と命ぜられ、軽く頭を叩かれた。テスト終了後、職員室の扉を開けると、其処には担任の姿しか見えず、残念な表情を浮かべ椅子に座る彼の前の机上には私の答案用紙と奪われた持ち物が並べられており、担任は私に下手糞と罵るかのように気重に「朝、お前を見た時、こういうことをするんやないかと思たんや。こんなことして卒業出来ると思たんか?!」と真っ向から私を睨み付けて一語一語を殴り付けるように言った。
奪われた持ち物の一部とは、教科書の試験範囲を事細かに書き込んだ答案用紙と全く同じ大きさで同じ材質の一枚の紙であった。その紙には見事に余白は無かった。然し、その横に置かれた答案用紙はある欄から下が一切何も記載されていないという、どのタイミングでカンニングが見付かったか一目瞭然の恥ずかしいものであった。
羞恥という感情が動いてのことなのか、何としてでもその場から逃げ去りたい一心で、涙ながらに何度も「すみませんでした」と担任に頭を下げていると、ばつが悪い事に、別の教師が入室して来た。担任は私への配慮なのか、椅子から立ち上がり、私について来るように指示を出し、職員室を出て無言で歩き続け、人気の無い渡り廊下に差し掛かった途端、立ち止まり、私が追い着くのを背中で確認したと同時に振り返り、私にとって絶望的な言葉を発した。
「明日、親御さんに来て貰ってくれ!」

nob morley
吉本新喜劇所属のお笑い芸人。やっと、ひとり暮らしの家にネットを引いた。とは言え、その費用を払う余裕が無いので、アルバイトに勤しみます。

最終更新日 : [12/12]
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