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111「私は不良ではありません。不運です。」

photo『高齢者の裸を見る』と聞くと、恐らく普通の感覚だと”介護“というジャンルが浮かぶであろうが、この場合は実に珍しい事に”披露“という、それを観た者が歓喜の気持ち一切無く、単純に”疲労“しか感じないという極稀なケースである。
眼前で踊る裸の高齢女性に完全にたじろぎ、最前列に座ること出来ず後退り、なるべく後方から眺めるように見ようとすると、入り口で我々に「楽しんでおいで!」と優しく声を掛けてくれた係員が「後ろに座んな!一番前で見んかぇっ!」と怒鳴り出した。怒られる理由全く分からず、かと云って敵に回し学校に通報されたらひと溜まりも無いと、「すみません」と軽く謝罪し、謝る理由全く分からず、一番前に腰下ろし、どう見ても自分の母親よりも年上である感じのする女性の裸を、従う理由は全く分からないまま、近距離で見守ることにした。タッチショーなる特別な時間の中で、厳めしい表情の係員の視線に負け、その肌に触ろうものなら、掌の水分を一気に奪っていかれる感じがする程カッサカサで、私の水分を吸収した踊り子さんが少し元気になったように見えた。
一人の踊り子の持ち時間は20分前後、次の演者に期待する。
然し、それは脆くも崩れ去り、次なる踊り子は先程よりも明らかに年齢が上な、獅子舞を被って奇怪に全裸で踊る老女であった。
完全に失望し、客席に目を向けた時、草臥れた社会不適合者のような4〜5人の初老男性が、相変わらず絶望に苛まされた眼差しで遠くを真っ直ぐ見つめていて、その姿が自分の今の状況とまみれ己の将来像に思えた刹那、少しだけ遠くに行っていた現実が我が身に戻り、それと同時に、次々に出てくる裸の踊り子の顔がどれも母親に見え始め、気分を紛らわすどころか単純に気分が悪くなり、その場からいち早く立ち去りたくなりながら、終演時間までがっつり裸婦を脳裏に焼き付けた。
予定通りの遅い時刻に帰宅すると、予想通りの母親からの「えらい遅かったやないの!?」という疑問混じりの若干の叱責、ここぞとばかりに「実は…」と重々しく事情説明し、「…それで先生に怒られてたからこんな時間になってん」と嘘を付け加え、一番言い難い「明日学校に親を連れて来いって…」という言葉を何とか搾り出した。
すると、母親は「私そんなん知らん。お父さんに頼み!」と、まさかの権利放棄。ここにきて完全に予想外の展開になり、複雑な家庭事情により暫く口を聞いていない厳格な父親に頼むことに。
泣き出しそうな気持ち堪えて、弱々しく全てを、ストリップに行った話だけ隠して打ち明けると、「お前、カンニングなんか…」と怒りがふつふつとたぎる感じのゆっくりした口調で言い始めたので「…恥ずかしい事しやがって!」と叫びながら殴られるのだと、歯を喰いしばり心の準備をしたその時、父親という立場の人間から信じられない罵声が…。

「お前、カンニングなんか…
…してもええけど、見つかんなっ!」

nob morley
吉本新喜劇所属のお笑い芸人。付き合っていた女性と復縁したが半年も経たずに捨てられた。然し、酔うと彼女に電話してしまう。嗚呼、己の心の弱さよ…。

最終更新日 : [02/04]
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