tomori nagamoto

Tomori NagamotoのLife Lessons

Lesson 12

"Only do what your heart tells you."

あなたの心を唯一のよりどころとして行動しましょう

― Princess Diana ―

例えば恋をして、真夜中に熱にうなされるようにして書いた手紙を、翌朝のまぶしい光の中で読み返してみるととても恥ずかしかったりする。ええぃと破り捨ててもう一度あたまから書き直す。はげしい感情表現は削られ、文面もアイロンをかけたみたいにスマートになる。けれども、なんだかその分だけ自分とは離れてしまったような、雨雲に覆われた夏空みたいな気持ちになる。だから僕は、書き直された文章よりも破り捨てられてしまったものの方に真実を見出す人間でありたい。

あの大きな災害のあと、まるで心の中に吊るされた鐘をこん棒で叩かれるみたいな毎日だった。悲しい映像をみるたびに、絶望を感じるたびにその鐘は鳴った。しかし鐘は、それと同じくらいの数だけたくさんの感動や喜びにも鳴らされた。被災地へ飛んで行く人や、海外でファンドレイズを立ち上げる人、あるいは情報をネットで流したり、ボランティア活動に身を投じたりする人たちの「本物の行動力」が生みだすエナジーは確実に僕の心の深いところに響いていた。

あるチャリティーを先頭で引っぱっていた子が囁いた、いつもは隠れるようにして生きてるのに、なぜか気付いたらチャリティーを主宰してました、と。どうしてあんなパワーが出たのか不思議だと。たしかに僕らはいつも行動を起こす前に考えすぎてしまう。これは正しいのか、間違っているのかと自問自答をくりかえし、気付いたときには時が過ぎている。けれどもあの時の心理状況はいつもと違ったのではないか。まず動こう、考えるのは後でいいと。もちろん冷静に考えれば危なっかしいものもあったし、批判を受けたものもあったかもしれない。しかしそれ以上に大事なのは、みんなが心のままに行動したことである。それはまるでパジャマで外を歩くみたいなものではなかったか。普段なら誰もパジャマでは外を歩かない。きちんと化粧をして、しかるべき服に着替えるのが正解である。しかしながらあの時ばかりは、そんなことも忘れてみな夢中で外へ飛び出してしまったのではないか。そういうパジャマ姿の人をずいぶんと見た。

「自信」とは、自分を信じると書く。それはまず自分の心が直感として正しいと感じたことを信じることからはじまる。それは時に批判を受けるかもしれないし、怖いことでもある。ある時代では善とされるものが、ある時代では悪となりうる矛盾だらけのおっかない世界で僕らは生きているのだから。しかし真実はいつでも、真夜中に綴ったラブレターの中にある。どうか破らずに、書き直さずにしまってください。迷ったらその手紙を読めばいい。あなたが、あなた宛てに出した手紙を。

[ 2011/05/06 ]

永本冬森   ながもと ともり

現代美術家。ニューヨーク、東京、トロントを拠点に活動中。アーティストとして美術展を開催するだけでなく、詩人として詩画集などを発表。また、ピアニスト百々徹 (どどとおる)氏のプロモーションビデオなども手掛ける。『Now』誌の「ベスト・アーティスト」賞、『EYE』誌の「ベストビジュアル・アーティスト」賞などを受賞し、トロントにもそのファンは多い。

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