気分は生活習慣病

122「評定平均と呼ばれる魔の数字」

調査書。それは、学習活動や学校生活について教員が記載した文書のことで、俗に言う、内申書である。それには、大学受験の合否に影響する点数が記載されており、それを『評定平均』と呼ぶ。

評定平均とは、高校3年間の学習成績を平均化したもので、5点満点で1点〜5点の間で点数が小数点第1位まで表示されており、我が校ではそれがA〜G(A…5〜4・6、B…4・5〜4・1、以下C〜Fと0・5刻みで、G…2〜1)にランク分けされていて、どのランクに何人分類されているか記載されていた。Gだけが0・5刻みでないのに少し疑問を感じてしまうが、全教科3年間"1“とかでない限りGランクに入ることはほぼないとされているようで、Gの欄には0と記されており、Dが一番多く百数十名で、Aに十数名、B・C・Eに数十名、Fには6名となっていた。何故かFとGが何名かだけ確実に覚えている。

大学入学への一番楽な道は恐らく推薦入学だろう。特に他人の事を悪く言うつもりはないが、京都の某名門私立R命館大学は、学力的にはかなりの難関校と位置付けされているのに、推薦入学に対する門戸が広いのか、数々の芸能人が推薦入学しており、過去、自称剣玉名人が面接官の前で剣玉を披露して大学に合格したという話を聞いたことがあるぐらい、どう考えても学力的に不可能な人間が入学していたりする。素晴らしき哉、推薦入学。スポーツの名門校とかではない我が校からは学力による推薦で行く者が殆どだったが、一人だけ古式泳法で表彰されたという変な実績で推薦入学した者が居たが、実際面接官の前で泳ぎを披露したのかは定かで無い。

学力での推薦の場合、多少なりとも学力試験的なものがあるようだが、それで合格すれば、誰よりも早くに進路が決まるので、周囲がセンター試験や何やらで頭を抱え出し受験戦争が本格化する冬休みに、完全に他人事と余裕の表情を見せることが出来、卒業式までまったり過ごせるのである。

そんな他人より楽な思いが出来る推薦入学にこの私が喰い付かない筈がなく、勇んで担任に相談しに行くと、担任は「特別やぞ」と重く呟き、調査書とされる書類を私に見せ付けて言った。「大学への推薦は基本Cランク以上や。そしてこれがお前の評定平均で…」その後は私の耳には何も届いて来なかった。紙面の右隅に書かれた自分の点数を見て愕然とした。『評定平均2・3』

赤面を隠し切れず教官室からすごすごと退室する私の両の目には、大金を目の前にした時に左右の眼球に『\』が浮き出る漫画みたいに、『F』の文字が浮き出ていた。顔面に火照りを抱えたまま、京都で3番目の進学校と謳う我が校で、成績を理由に大学進学を諦め、就職、若しくは専門学校を希望している者が丁度5名おり、Fランクとされるその者達全員に評定平均を訊きに回った。すると、今まで『F』だった眼球表示が『べ』に変わり、両目で『べべ』になった。―『べべ』それは関西弁で"最下位“という意味―それを知ったとき、耳に届かなかった筈の担任の声が頭に響いた。

「この点数はお前だけや。でもな、これでもかなり色を付けた方や。俺に感謝しろ」

俺、どんだけアホやねん!

[ 2009/07/17 ]

nob morley
nob morleyに興味を持つ編集部員に吉本新喜劇での彼の写真を見せた。「内場サンと出てるンや〜」と感動。評価の基準が分からない↑関東出身。by 編集部

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