気分は生活習慣病

127「虚言が産んだ虚構の悲況」

大学生と偽っての某ファストフード店でのバイトは、予定を遥かに上回る早い段階で辞めざるを得なくなった。嘘の大学生の私が、本当の大学生に出会っただけならまだしも、その学生が私が嘘で通っていることになっている学校に通っており、在ろう事か私が嘘で入っていることになっている学部の本当の生徒であった。

『こんな偶然ある?』と我が身に起こった奇跡的なハプニングとでも言うべき彼との妙な共通点に歓喜の声を上げ抱き合いそうになったが、彼からの当然のような「大学で見たことがない」という私への疑念が、ストレートに全身の皮膚が泡立つ程の狼狽に繋がり"窮地に立たされた状況で出る言葉って自分でも何を言ってるか分からなかったりするのね!“と感心してしまうぐらい、出た言葉が、「大学辞めました」という、嘘を嘘で何とかリセットしようとする嘘満開のコメント。

私が辞めたと言ったその大学はそれ程難関校で無いにしても、私立の中では結構有名で、大学のランクが最も分かり易く判別される就職率もそれなりの高さを誇っている。そんな大学に行けるだけでも凄い事なのに、3か月ぐらいで辞めた…となれば、"其処を目指し、努力し、合格し、お金を払い、通っている人“からすれば、当然理解に苦しむことであろう。

学校で見たことがないと疑いを掛けた人間に、それは学校を辞めたからだと言われれば、確かに理に適っている感じはするが、私が逆の立場なら大嘘をこいているとしか思えず、悪欲が突発的に湧き出、「嘘なことぐらい分かるんやっ! まぁお前にとって職場にそれが知れる事がどれ程辛いことかも分かる。だから、黙っといたる。その代わり…」と言いながら、ゆっくり右の掌を差し出すであろう。然し、そのチーフマネージャーである学生の彼は、心中穏やかでない筈なのに一瞬にして全ての疑念が取り払われたかのような清々しい表情を私に向け、少し心配するように言葉の端々に気遣いが窺える優しいトーンで「家の事情でか?」と学校を辞めた事由を訊いてきた。物凄く裕福ではないが、特に家庭に問題がある訳でもない私であったが、まさか向こう側から逃げ道を指し示してくれるとは予想だにしておらず、それに乗っからない手はないと思い「そうなんすよ。親の仕事の状況が急に厳しくなり、学費を払って貰えなくなって…」正直、ここまで嘘を重ねると自分がどうなっていくのか全く分からず不安だった。でも、今更後戻りは出来ない。

行ける所まで嘘で突き進むしかない。

「―だから、少しでも学費の安い国公立を受け直そうと思いまして…」そんな気は毛頭ない。学費が幾ら掛かろうと関係ない、大学など行ければ何処でも良かった。

だから「すみません。誰にも言わないで下さい」と口止めをした。然し、この嘘が翌日には職場全体に拡がっており、業務終了後、店長に呼び出された。『嘘がばれた↓クビ』それしか私の頭に無かった。店長室の扉を叩き、ゆっくりと室内へ入ると、店長はいつもに増して厳しい表情で、私を見つめ「大変やろうけど、頑張れよ!」

その日から肛門から鮮血が出るような辛い受験勉強の日々を送ることになった。

[ 2009/10/02 ]

nob morley
今日、ドルの値が急落して1ドル88円。昨日、海外のネットで今が一番ドルが安いからと調子に乗って、結構な買い物したとこやったのにぃ〜…。

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