気分は生活習慣病

135「良い子は真似をしないで下さい」

物事に集中をしなくてはならない時に、どうしても気持ちの矛先を向けられない。それは明らかに何かに気持ちを阻害されている、『気が散った』状態と言えよう。例えば、読書中に救急車のサイレン等の大きな音が耳に入るだけで字面を目で追ってはいても、その内容は頭に全く入っていなかったりするように、集中力とは思いもよらぬ騒音に邪魔されたりする。

初め私は、他人の成績を無理矢理下げる為に、この騒音を何とか利用して、受験者の集中力を故意的に欠く方法が無いものかと考えた。そして思い付いたのが、『サイレン鳴らして皆を妨害』作戦である。

これは、試験中に110番か119番を掛けて緊急車両を試験会場に呼ぶ方法。確実に他の受験者の集中力を欠き、高成績取得を妨害出来るが、自分も他と同様、全く集中出来ない状態に陥るだけでなく、周囲はサイレンの音が聞こえるまで普通に集中しているのに、自分は緊急車両を呼んだ瞬間から気が気で無く、試験中どころか、一日中落ち着かない状態になる。でわ、自分で騒音を出すというのはどうか。試験中に(名称こそ分からないが、風船の先に太目のストローが付いていて、膨らました風船が萎んでいく時に、初見の人は必ず「こんな大きい音が出るとは思わんかった」と驚嘆の声を上げる程、予想を上回る音量の)"ブ〜“という音が出る玩具を使って妨害したら…恐らく、即刻試験会場から追い出されてしまうであろう。

様々な考察の結果、『音』系はリスクが高過ぎるという事に行き着き断念。

次なる作戦は『全裸女性in試験会場』。

もしも、全裸女性が試験会場に居たら、受験者の視線は答案用紙ではなく女性の身体に集中してしまうぐらい、気になって仕方無くなるであろう。然し、これには大きな問題が…先ず、女性の裸には男性しか食い付かない。そして、私は男性。でわ、私自身が裸になれば…試験会場から追い出されるどころか、警察に捕まる。…一瞬、この作戦なら自然とパトカーのサイレンでの妨害も出来るから一石二鳥と思いがちだが、肝心の本人が試験会場から居なくなってしまうという実に無意味な状況に陥る。

でわ、どうすれば……簡単なことであった。周囲の人間が気になって仕方無いぐらいの変な奴が会場に居れば良いのだ。

自分の頭の中にある『変な人』の引き出しを開けて、色々探り出し、ある変人に辿り着いた私は、風呂場で全ての頭髪を剃り落とし、銀縁の丸メガネを掛け、下駄を履き、昭和初期の学生のような出立ちで、大きな黒いボストンバッグに英字新聞・広辞苑・世界地図・電卓・そろばん・数珠・家に偶然あった小さな大仏の置物を入れて、参考書などは一切持たず、試験会場に向かうことにした。最寄り駅から会場に向かうその道すがらでさえ、周囲の視線をびんびん感じる程で、受験生達は、得体の知れない姿の人間が自分達と同じ試験会場に入って行くのが余程衝撃的だったのか異様に騒ぎ始め、私と擦れ違うなり、驚きの表情で必ず振り向き、こそこそと何かを話し出した。作戦の第一段階『容姿奇怪』は物の見事に成功した。然しこれはまだまだ序章。

ここからが本番であった……

[ 2010/02/05 ]

nob morley
吉本新喜劇所属のお笑い芸人。きましたねぇ〜。カナダにまた殺人的な冬が…。思い返すだけで嫌やわぁ〜。けど、生涯一度は経験しておくべき、その寒さ。

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