気分は生活習慣病

161 浮気と本気がバレる時

私をセックス上級者と判断した"あの人"は、それが誤判断と気付くことなく、麻婆豆腐を食べに来た日から、お互いの気持ちが確認済みということもあり、極端に校舎から近いという理由で、気軽に私の家に遊びに来るようになった。

遊びに来ると云っても、それは"あの人"にとっての『遊び』であって、私にとっては『本気』でしかなく、初めは当然お互いぎこちない時間を過ごしていたが、私が思い切って突破口を開くと、彼氏が居るのにこんなことしていて良いのか…と思うのはこちら側だけで、"あの人"は、そんなこといちいち気にしてたら楽しいことなんて何も出来ないじゃない!とでも言うかのように積極的に私の唇を求めて来るようになった。

紛れも無く童貞であったが、Kissには自信がある…筈が無い。First Kissでは当然無かったが、傍から見たら獣が肉を食いちぎっている様にすら思える、口全体で相手の唇をむさぼるような荒々しいものであった……だろう(若しかしたら、未だにあの頃と何一つ変わらないKissを自分がしているかも知れないと思うとゾッとする。が、それ程、今も自信は無い)。

"あの人"の胸の内はどうなっているのか分からない。ただ、私はKissを繰り返せば繰り返す程目の前の人を自分のモノにしたくて仕方無くなり、もどかしさが異様に膨らみ、その膨張が下半身の膨らみに繋がる…ことは全く無かった(どうやら、私の身体には未だ消えることなく『つつみさんの呪い』(vol.146参照)が巣食っているようで、Kissをしながら頭の中の何処かで、急に私を突き飛ばし彼氏の名前を叫び出したらどうしよう…という不安感が襲い掛かってくる)。だから、"あの人"の受け入れ態勢が幾ら整っていようとも、私は一切次の展開に踏み込めずにいた。

"あの人"は私の空回った下半身にもどかしさを抱えていたようだが、自分が背徳行為を行っていることに流石に多少の罪悪感を感じているのか、そのことを私に咎めたりはせず、逆に深入りせずに済んでいるという安堵感と若干の物足りなさと共にバスに揺られて家に帰るという日々を何度か繰り返した。私は"あの人"がバスに乗る前に毎回「彼氏と別れて俺と付き合おうや!」と正直に告白するのだが、答えはいつも一緒で「それは無理やわ。私、彼氏と結婚する約束してるから…」。彼氏の立場で考えたら、こんな辛い状況は無いのだろうが、私には全く関係の無いこと。それよりも自分が、"この人"にとって『遊び』で終わるなんてゴメンや!と、妻子有る男性と不倫している場末のホステス的な気持ちを遠慮無く抱いてしまい、彼氏にバレないように上手く"あの人"を自分の彼女にする方法を思案した。すると、突然電話が鳴った。時計を見ると"あの人"が丁度家に着いた頃だったので、その電話か…と思ったのだが、電話のベルがどうもいつもと違って聞こえる。受話器を取ると、全く聞き覚えの無い男性の声が…「森田さんですか?」と聞いてきた。私が、はい、と応えるのを待たずに向こうの方から話し掛けてきた。「先程までそちらにお邪魔していた女性の彼氏ですけど…」―― やばい!バレてるぅ〜

[ 2011/03/04 ]

nob morley
吉本新喜劇所属のお笑い芸人。ツイッターを始めて大して呟いても居ないのにFacebookも始めてしまいました。本名で登録していますので、探してみて下さい。

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