のんびりアート

040「2倍の幸福量」

ブータンという国を知っているでしょうか? インド・アッサム平原と、チベットの高原に囲まれた、面積でいえば九州と同じぐらいの小さな国です。その国では、35年くらい前から、国王の発案によって、世界中どこの国もやっていない"賢明な価値観“を国のビジョンとして続けているのでした...。

それは、国民総生産量(Gross National Product)より、国民総幸福量(Gross National Happiness)の方が、ずっと大切であるという事。

つまり、物の豊かさが、人間の幸福に直接つながると思うのは間違いである...と、言い切ったのだ。つまり、目的と手段を混同してはいけない。経済成長は、あくまで幸福になるための一つの手段であって国の目標とすべきでなく、目的、目標は、ただただ国民の幸せにつきる...と、言い切ったのだ。

...言い切る事はだれにでも出来ますが、ブータンでは、国王を中心に国民みんなが長期のビジョンを守り、経済も発展させ、幸福量の増大にとって、絶対に欠かせない豊かな自然環境を守る政策などを、"静かに“実行していたのです。

昨今の、国民の幸せなどそっちのけにして、経済成長の「数字」ばかりを追って騒いでいる国々にとってはドッキリの言葉。でも、真実をついていて、物を欲しがる人間の欲望には限度がなく、ある物を手にすればさらに欲しがる...。そして、幸福とは反対の嫉妬や疑い心を起こし、果ては、大きな環境破壊まで突き進みます...。現在の世の中を見れば、それが本当だったという事がはっきりとわかります。

アレッ?アートのコラムから道が大きくはずれてしまったみたいですネ。それと、知っているんですヨ、芸術は苦悩、どん底から生まれるとか、芸術家は悪魔に魂を売らなければダメだとか...(あるイミ、それも本当みたい...??)でも、僕にはそれを書く資格がありません。せめて、自分の小さな幸福量の事をハズカシイ気分で書きます...。

だいぶ前に「デロジエー・ダンス・シアター」のポスターをやった。「自由に、好きなように」と言う言葉のもと、ラフスケッチでOKを取り、ブルースカイを背景に、いろんな「物」「人」が共存している、水と岩のある風景を描いた。18日後、ハーバーフロント・クイーンズ・キーのシアターでダンス公演とポスター発表が行なわれ、公演を見た僕はビックリした。絵の中の数点のモチーフがダンスの中にも登場するのだもの? 僕がラフスケッチを見せる何か月も前から、ダンサー達は練習をしている訳だし...? イマジネーションの共通に、すっかり驚いてしまったのだ。公演後、デロジエーさんもハッピー、僕もハッピーで、2倍の幸福量だった...。

[ 2010/04/16 ]

日塔 富夫
Esquire、The Financial Post 、Saturday Night、Toronto Lifeなどの表紙、挿絵を手がけたほか、映画「The Fly」「M Butterfly」にも作品提供する。サイトwww.tomionitto.com

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