のんびりアート

047「ソーラー家族」

 

10年前頃、グリーンピースからの仕事で、ソーラーエネルギー促進のイラストを描いた。そのイラストは、今でも僕の好きな絵のひとつで、絵柄はこんな具合である…。手前に、緑の芝生で囲まれた家があり、片側の屋根は一面ソーラーパネルが張られ、取り付け作業を終えたおじさんが梯子を使ってもうすぐ下に降りようとしている。下ではお父さんとお母さんが「ヤッター」という様子で屋根を見ていて、前の道を男の子が自転車でうれしそうに走り、犬が追いかける。後方に大きな川があり、その鉄橋をハイスピードの列車が通過していて、その列車の行き先の都市には高層ビルが立ち並び、屋上には大きなソーラーパネルが見える。そして右側の遠景にはウインドパワーの塔が3本立ち、その下で数頭の乳牛が草を食べていて、さらに遠くにファームランドが続く。空はもちろん、雲ひとつない青空。…と、一気に書きましたが、イマジネーションで絵柄が浮かんで来ましたか?(クライアントの人達でも、このイマジネーションが苦手というのが結構いるんです。最近は特にコンピュータで何でもすぐ見れるから、ますますイメージする、想像する感覚がダメになって来ているみたいです)。イラストを描いた頃から数えて10数年になる現在、それ程ソーラーエネルギーが普及しているとは思えない。相変わらずオイルが主流で環境問題の悪玉になっている。
雲ひとつない青空のある週末日、ボクは自転車で外に出た。レスリースピットに行く途中、チェリービーチ近くにあるサッカー場の端の大きな石に座っておにぎりを食べていた。目の前ではトーナメント試合が進行中で、それを見ながらボンヤリ考えた…。
…サッカー選手達は、ある特種な靴とユニフォームを着ていて試合が終わりベンチに戻るたび、自分が充電したエネルギーをバッテリーボックスに移している。彼らがはいている靴はステップの強さと歩数を、すべてエネルギーに変えてしまうのだ。また、ユニフォームもソーラーパネル繊維で出来ていてエネルギーを蓄える。「今日は試合も勝てたし、家に帰って、家のバッテリーボックスに今日の充電量を移すのが楽しみです」お父さんふうの人が言った。「今日は子ども達も自転車で遠くまで行ったので、自転車と服からの充電で沢山のエネルギーを持って帰ると思いますョ。ワイフも、体にいいし充電できるからと歩いて買物に行くんですよ。車は使わなくなりました。ワタシはイラストレーターですが部屋の中にこもって手先を動かすだけ、さっぱり充電には役立たずですョ。だから週末はネ!!」。
最後のおにぎりを飲みこんだとたん目がさめた。ボクの自転車にも服にも充電装置はついていない。でも、ソーラー服って体に悪くないのカシラ?

[ 2010/11/19 ]

日塔 富夫
トロント在住のイラストレーター。Esquire、The Financial Post 、Saturday Night、Toronto Lifeなどの表紙、挿絵を手がけたほか、映画「The Fly」「M Butterfly」にも作品提供する。サイトwww.tomionitto.com

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