Kodo

太鼓芸能集団 鼓童

佐渡から世界へ

地球を一つに繋ぐ和太鼓の音

(2011年02月18日記事)

母親の胎内で聞いた最初の音、鼓動。その言葉の音を取り、日本の伝統的な音楽芸能を再創造し続けているのが太鼓芸能集団の「鼓童」だ。力強く、時には囁き掛けるように響く太鼓の音が人間の根本にある感情を呼び起こし、世界中で賞賛されている。
トロントでも過去に幾度も公演を開催し多くの観衆を魅了、再来が心待ちにされていた鼓童。30周年の記念となる今年は、リニューアルしたばかりのソニーセンターでその勇姿を見ることができる。今回のツアーの見所をカンパニーマネージャーの秋元淳さんはこう語ってくれた。

「まず、メンバーがかなり若返っています。もともと鼓童は世代交代を繰り返しながらやっているグループなんですが、最年長が60歳になりまして、一番若いのが21歳です。近年では若いメンバーの台頭が目覚ましく、いろんな想像力を持って曲作りもやっています。今回はそういう新しいメンバーによって作曲された曲と、鼓童が長年やり続けている定番の曲をいいバランスでブレンドしたのでフレッシュなショーになっていますよ。それに、新しい曲が今までにない鼓童の局面を出してくれていると思います」

─ 鼓童の新しい面を見ることができるのは素晴らしいですが、今まで培ってきた伝統は守っていかれるんですよね?

「僕自身、前は伝統っていうのは守らなきゃいけないものだと思っていました。でも、鼓童に入ってみたら伝統っていうのは常に更新していかないと継続できないことが分かってきたんです。例えば、日本のいろんな地域の伝統や文芸も、そのまま残っているというより、受け継がれる間にちょっとずつ変わってきていたりするんです。そうやって受け継いでいく人の手によって変わっていったり、更新されていくことによって生きていくというのが伝統で、鼓童もやはり同じなんです。そして、昔からあるものは土台となって自分達の血肉の中に生きていて、何か新しいことをやるときにはもちろん、どんなことやっても、血肉の中からそれが表現として出てくるんですよね」

─ では、和太鼓という日本の香りがするものを世界に持っていった理由、そしてまた、世界中でこれだけ受け入れられている理由は何だと思われますか?

「日本の伝統芸能で海外の方が触れる機会があるものは都会のものが多いですよね。歌舞伎とか狂言とか、文学とか能とか、そういったものをご存知の外国の方は多いですけれど、各地の郷土芸能がどんなものであるのかは、日本に行かないと分からない部分があった。そこで、鼓童はそういう日本の美しい郷土芸能を海外に紹介できないか、と思ったんですよね。それを紹介していく中で自分達も海外で出会った人たちの文化や音楽などから刺激を受けて、それを今度は日本の方に紹介できる…。海外公演に関しては、そうやって双方向で交流ができるのも素晴らしいということで続いているのではないでしょうか。
そして、鼓童の曲(音楽)についてですが、初期の頃から日本各地で習ってきたその地の芸能をそのまま舞台に持っていくのではなく、アレンジを加えているんですね。そこで鼓童のテイストが入ってきます。そうすることによって、ただ日本の香りがするものじゃなく、海外のお客様が見ても親しみやすいようにうまく仕掛けているんですよね。それが、海外でもここまで受け入れていただいている理由の一つ何じゃないかな、と思います」

─ 海外公演では、日本で使用されているものと同じ太鼓を使用されるんですか?

「そうです。船便で送ることが多いので、1〜2か月前に現地に送り出します。本当にもう、無事に会えることを願うばかりと言うか(笑)。極端な話、赤道直下を船が通過する時はコンテナの中が60度くらいになることがあるらしいんですね。(太鼓は)それを耐え抜いて現地に到着してくれているので、丈夫なことには感心しますね」

Kodo 〜 Drummers of Japan 〜
Celebrate 30th Anniversary with 2011 One Earth Tour

日時:3月11日(金)20時
場所:Sony Centre for the Performing Arts( 1 Front St. E.)
入場料:$55 〜 75
連絡先:416-872-2262
サイト:www.sonycentre.ca

© Buntaro Tanaka

─ 和太鼓の寿命はどのぐらいなんですか?

「鼓童の初期から使っているものが最年長なので、30年選手ですよね。それが今の時点で全く壊れずに残っています。皮はやっぱり、5〜6年に1回は破れてしまうので、それは定期的に交換しています」

─ これまでの鼓童を見てきて、秋元さんが思う鼓童の魅力とは何ですか?

「そうですね…、いまだにすごいな、と思うのが、共同作業の中からダイヤモンドみたいなものを見つけてくるのがすごく上手なことです。1人では出来ないことを皆でやることによって何かを生み出していくっていうのが本当に素晴らしいな、と思います。ただ、ミュージシャンシップに優れているとか、才能がある、ということじゃなく、チームワークとか仲間を大事にしています。そういう部分にすごく惹かれますね」

─ 最後に、鼓童の将来的なビジョンを教えてください

「国際的な芸能や舞台芸術、音楽というものは常に新しいものが求められると思うんですが、鼓童はそこにある種、逆行をするような方向性を持っていて、変わらない鼓童というのが、今の時代、すごく大事だと思っています。変わらないというのは、マンネリということではなく、先ほど話題に上がった伝統と同じで、常に同じなんだけど、見る度に新鮮、というものを提供できたらな、と思っています。そして、変わらないものがある一方で、変わっていくもの、新しいものとの出会いを模索していきたいですね。
我々のツアーのタイトルは『ワン・アース・ツアー』と、84年からずっと同じタイトルを使っています。これも太鼓をいろんなところに持っていき、今まで会ったことのない人に聞いてもらって、太鼓の音で世界を繋いでいくようなイメージでやっています。今まで行ったことのないところもそうですし、行ったことのあるところでも若い人たちが世代交代で新しい世界を作っていたりするので新しい出会いもあるでしょうし…。そういうことを繰り返しながら世界的な交流に少しでも貢献できればと思っています。」

〈インタビュー/西尾 裕美〉

Biography

こどう

1981年、ベルリン芸術祭でデビュー。これまでに世界46か国を訪れ、公演回数は3300回以上。ツアーの他、小中高校生との交流を目的とした「交流学校公演」を行なう。また、歌舞伎俳優・坂東玉三郎氏など、異なるジャンルのアーティストとの共演も数多い。01年、ノーベル平和賞コンサート出演。拠点とする佐渡では88年より国際芸術祭を開催し、08年には「ふるさとイベント大賞」にて大賞(総務大臣表彰)を受賞。
www.kodo.or.jp

 
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