Eva Aine

ミュージシャン エヴァ アイネ

My Way To Happiness

人生の優先順位をつけたら分かった
音楽への愛情と大きな夢

(2011年04月01日記事)

まだ肌寒いトロントに、世界25か国から800組以上のアーティスト達が集まり、5日間に渡って行なわれる恒例のインディーミュージックの祭典『カナディアン・ミュージック・フェスト』が3月7日から11日まで開催された。

毎年日本からも何組かのミュージシャンが海を越え、音楽を届けてくれるこのイベント、今年はどんなアーティストが来加するのかと楽しみにしていたところ、アメリカ育ちの日本人女性アーティストが来加するとの噂を耳にした。それも、5オクターブの音域を持つという。11日に予定されている彼女のライブに先駆けてMySpaceなどでその歌声をチェック。ソウルフルで温かく深い響きを持った声は、聞く人を勇気付けるような、そしてすこしだけ背中を押してくれるような優しさが伝わってくるようだ。アメリカ生まれ、という生い立ちも興味深く、マルチカルチュラルなトロントにぴったりのアーティスト、エヴァ・アイネさんにコンタクトを取った。

「エヴァは私のミドルネームで、フルネームは愛音・エヴァ・中村っていうんです。"アイネ"よりも"エヴァ"の方が聞き易いだろうと思って(アーティスト名は)エヴァ・アイネとしました」
小柄で可愛らしく、ウェーブが掛かった長い髪がエキゾチックな印象のエヴァ さん。音を愛すると書くなんて、ミュージシャンになるべくして付けられた名 前ですね、とコメントすると、「いいえ、全然そういう訳ではなかったらしいんですよ」と、言いながら音楽の世界に入った理由を説明してくれた。

「"アイネ"は、珍しいからって付けてくれた名前らしいです。特に音楽に関係 がある家庭ではなく、どちらかと言えばアカデミックな家庭で育ちました。高校の時に音楽に興味を持って、声楽を学んでからどんどん音楽の世界に入っていって…。オペラ歌手でもあった学校の音楽の先生が、『(音楽を)やったほうがいいよ』って声をかけてくださったんです。でも、始めは音楽を仕事にすることには全然興味なかったですね。
ところがある時、レーナ・マリアさんというスウェーデンのゴスペル歌手が高校でコンサートをやってくれたんですよ。彼女は両腕がなくて、足も、片足はもう一方の半分の長さしかないという障害を持った方です。レーナさんのコンサートを聞いてすごく感動しました。そして『音楽をやりたい』と思ったんです」
音楽の授業中にエヴァさんの歌声を聞いて、才能を発見した音楽の先生。「彼(先生)がいなかったら音楽はやっていなかったと思います。音楽をやりながら別の夢があったので勉強もしたし、大学受験もしたし…」というエヴァさん。
「実は、今はミュージック一本じゃなくて、パラリーガルとしても仕事をしているんです。でも、3月でそれは終わりにして、4月からフリーで音楽だけをやろうと思っています。家族はちょっと心配してるとは思うんですけど…」

しかし、すぐに音楽一本で食べていけるようになるほど、音楽の世界は楽ではないだろう。
「分かっています。でも、人生あっという間だな、と思って…。限られた時間の中で、悔いのないように生きたいんです。やりたいことは沢山あるけれど、その中で何を選ぶか、と思ったら音楽だ、と思いました。音楽のためだったらどんなことでも犠牲にできると分かったんです。
今までは色んなチャンスに恵まれて、皆さんに支えてもらっていたけど、今度は自分から発信して、世の中を変えていく努力をしていきたいと思っています」

では、エヴァさんが音楽で届けたいメッセージとは何だろう?
「出来るだけ多くの方に聞いてもらいたいんですが、特に女性にメッセージを届けたいです。最近自立している女性が沢山いらっしゃいますが、そういう女性を応援させてもらいたい、と思います。あとは、自分に素直になってもらいたいですね。私自身も自分に素直になってポジティブなエナジーを送り、それを聞いてもらうことで心を開いてもらうことができたり、後悔しない人生を送ってもらえるようなメッセージを送りたんです」
その大切なメッセージを運ぶ音楽は、様々なジャンルをクロスオーバーさせた独自のサウンド。ライブも、ギターやベース、バックコーラスを付けることもあれば、マネージングも担当しているキーボードのバンドメンバーと2人だけで行なうこともあるという。

「手がける(音楽の)ジャンルはすごく広いと思います。島歌とかも歌うし、R&Bとかゴスペルの曲を作ることもあります。
でも、どの曲にも共通しているのはソウルミュージックですね。曲作りに関しては、私は今、自分のやりたい音楽を自分のやりたいペースでやっていられるので幸せだと思いますが、次のレベルに行くにはメジャーレーベルと契約したいな、と思います。自分の夢を達成するためには大切なステップなので。そうすることで何かを束縛されることになるかも知れませんが…。
今の日本の音楽シーンは、日本語で歌うことを求めていて、レコード会社も日本語で歌って欲しいっていう感じがあるんです。でも、そうやっていたら日本の曲が海外に出て行くことは難しい。だから、日本語の曲も英語の曲もやっていって、日本のJポップを変えたいな、という気持ちもありますよ」
今の日本の音楽シーンの枠から、少しだけはみ出したところで音楽を作っているのもエヴァさんの楽曲の魅力だろう。

「私はアメリカで生まれたのですが、アメリカに住んでいる時は日系アメリカ人。そして、日本に帰ってからは帰国子女ということで、どちらでも"人とは違う"と見られていました。そういう自分自身のユニークさをずっと意識してきたので、特に日本人であることや国籍とかは気にしていません。
逆に、そういうことに束縛されずにやっていきたいですね。日本に住んでいる日本人でも日本語で歌う必要はないし、実際にみんな洋楽も聞くじゃないですか?日本人だとか、日本に住んでいることに囚われず、そういうものを超えたところで世界で認められようなアーテイストになりたいです。
アジア人であることを意識するとすれば、今、アジア人の音楽家で受け入れら れている人は、クラシック以外は数が少ないと思うんです。現在のエンターテインメントの中心はアメリカですが、そこでアジア発の音楽を受け入れてもらうのを待つんじゃなくて、自分達で主張し、自分達の文化をどんどん提示して、世界にアジア人の音楽っていうのを発信していかなければいけないと思います」

伸びのある歌声とともに届けられる誠実で謙虚なメッセージ。彼女のファーストアルバム『My Way To Happiness』では、幸せとは自分の気持ち次第で掴めるもの…と綴る。大きな夢をもつエヴァ・アイネさんのそんな歌声が世界中に響き渡る日は遠くないだろう。

〈インタビュー/西尾 裕美〉

Biography

エヴァ アイネ

米ワシントン州シアトル出身。
幼少期に来日。高校生の時にクラシック声楽を2年間学ぶ。大学ではゴスペルグループに所属し大規模なライブハウスでの公演、テレビ番組でのコーラス等を経験。また、三線・島唄(登川流)を学ぶ。その後、ブライダル・シンガー等を経て、Berklee Music of College 等にてボーカルおよび作曲を学ぶ。
10年9月には1stアルバム『 My Way To Happiness』をリリース。
www.myspace.com/evaaine、twitter.com/EvaAine

 
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