ツタンカーメン王展

古代エジプトの神秘を探れ

(2009年12月18日特集記事)

写真(左):黄金製カノプス小型棺
死者をミイラにした後、取り出した内臓を入れておくもの。通常4体一組。カノプス棺は
肝臓・肺・胃・腸の4つに分けられて墓に納められた。

少年王に何が起こったのか謎に包まれた古代エジプト史

紀元前1333年ごろの古代エジプトで、当時、弱冠10歳であったといわれる少年王ツタンカーメンが即位した。しかし彼は18歳でその短い生涯を閉じる。死因は現代の科学を持ってしても未だ不明のまま。彼のミイラの大腿骨に大きな骨折の跡が見られたこと、わずかに治療をした痕跡が見られることから、骨折の後、数日間は生きていたことが確認されている。戦争中や軍事訓練中の事故のために負傷したのではないかと推測されているが、暗殺説を信じて疑わないものも多い。
ナイル川流域を越えてその勢力が最大となったエジプト新王国時代、若き王ツタンカーメンはどのような生活をしていたのか、死に至るまでに何が起こったのか、そして死後の世界を強く信じた古代エジプト人は、少年王の旅立ちにどんな願いを抱いたのか…。そんな思いに駆られる展覧会『ツタンカーメン王展』が、トロントのArt Gallery of Ontario(AGO)で開催されている。

王家の谷で、その扉を閉ざし続けたツタンカーメン

エジプトはカイロ郊外の”王家の谷“。太陽が沈んでいくナイル川の西岸、死者の町と考えられていたこの砂漠の谷を深く掘り、王たちは墓を築いた。死後の安住の地としてここを選んだ歴代の王族150人以上が眠る場所だ。
この王家の谷で永遠の眠りについている少年王の墓からの出土品、約100点を目にすることが出来る『ツタンカーメン王展』では、残念ながら、かの有名な黄金のマスクやミイラは見ることが出来ないが、20世紀最大の発見の1つである古代エジプト第18王朝のファラオが残した品々をじっくりと鑑賞させてくれる。ツタンカーメンは王名表に名前が掲載されておらず、92年にイギリスの考古学者ハワード・カーターがその墓を発見するまで、存在すら確認されていなかったという。しかし王家の谷で発見された墓63基のうち、唯一、過去に墓泥棒に暴かれた形跡がなく、眩いばかりの金銀財宝が出土した。少年王のピラミッドでさえこのような出土品の数々が見られるのなら、最大のピラミッドであるクフ王の墓には、どれだけ歴史的価値ある装飾品が王のミイラとともに埋められていたのだろう。そんな思いを巡らせながら、ツタンカーメン王の人生とその生活、人類が見る機会を与えられた歴史的発見を余すところなく堪能したい。

なお、今回の『ツタンカーメン王展』はカイロのエジプト考古学博物館からの協力を得て実現した。同博物館は、2011年春をめどにピラミッド近くのギザ地区に移転、「大エジプト博物館」として再オープンする予定だ。展示面積は展示面積は従来のほぼ倍の大きさの3・5万平方メートル、展示点数は10万点となるとのこと。『ツタンカーメン王展』の収益の一部は同博物館の移転事業の基金とされる。

A: Colossal Statue of Amenhotep IV / Akhenaten
アメンホテプ4世の像
アメンホテプは古代エジプト第18王朝10代目の王。アテン以外の神々の信仰を禁止したアマルナ革命を起こしたことで知られる。

B: Funerary Mask of Psusennes I
プスセンネス1世の黄金のマスク
プスセンネス1世は都をタニスに置いたエジプト第3中間期第21王朝の王。このマスクは、実際にミイラに被せられていた。

C: Funerary Figure (Shabti)
シャブティ
ミイラとともに埋葬された、木製の小さな像。古代エジプトでは、この人形があの世で人となって、故人に仕え、農作業などをすると考えられていた。

D: Leopard-Head Decoration from
a Ritual Robe
豹の頭を模したデコレーション
豹は、古代エジプト人によって神の化身と信仰されていた動物のひとつ。このデコレーションは、神官のローブに付けられていたと考えられている。

E: Canopic Stopper
カノプス容器の蓋
ツタンカーメンの内臓を保護するためのカノプス容器は4体一緒に厨子に納められ、それぞれにツタンカーメンの頭部を模した蓋が置かれた。

F: Funerary Sandals of King Tut
サンダル
ツタンカーメンのミイラが実際に履いていた黄金製のサンダル。古代エジプトでサンダルは霊界でのはきものと考えられいたという

G: Colossal Statue of Tutankhamun
ツタンカーメンの像
ツタンカーメンの後に王位に就いたアイとホルエムヘブの墓跡から見つかった像。ベルトにはツタンカーメン、アイの名前の上からホルエムヘブと彫りなおされた跡がある。

Photo: Sandro Vannini

Event Information

Tutankhamun: The Golden King and
the Great Pharaohs

【日 時】開催中〜2010月4月18日(日)
【場 所】Art Gallery of Ontario(317 Dundas St. W.)
【入場料】平日 $28.50、休・祭日 $32.50 
     学生、子ども、シニア、家族割引あり
【連絡先】416-979-6648、1-877-225-4246
【サイト】www.kingtut.ca

会場見取図

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