アガワ渓谷の秋景色

ノスタルジックな紅葉列車に揺られて

(2010年09月17日特集記事)

トロントの秋は訪れるのも去るのも早い。しかし、少しでも秋の雰囲気を味わいたいと願うのが人の心情というもの。日本の紅葉とはひと味違ったダイナミックなカナダの紅葉に思い切り包まれるのも悪くない。

そこで今回紹介したいのがトロントの北西に位置するアガワ渓谷だ。北米有数の秋景色で知られるこの渓谷は、迫力あるV字谷にメープルやポプラ、シラカバなどが群生し、秋になると赤に黄色に色づいた葉が人々の目を楽しませる名勝の地。トロントの都市部とはまったく違う、手つかずの自然が広がっている。夏の萌える新緑から4メートルの積雪が一面を真っ白に染める冬の景色までそれぞれの季節に自然の美しさに浸ることができるスポットだが、紅葉の美しさはまた格別。谷間を走り抜ける"紅葉列車≠ナ堪能しよう!


紅葉を楽しむツアー列車

トロントの北西、スペリオル湖とヒューロン湖に挟まれた位置にスー・セント・マリーという市がある。アメリカのミシガン州との国境に位置するこの街を拠点として「アガワ渓谷ツアー列車」は運行されている。この列車は、スー・セント・マリー市と、その北約180キロにあるアガワ渓谷間を往復するツアー列車で、1914年に開通した歴史あるアルゴマ・セントラル鉄道が運営している。

渓谷の美しさが評判となり始まったこのツアー列車は、スー・セント・マリー市の停車場から往路約4時間、アガワ渓谷にて自由時間約2時間、そして復路約4時間というスケジュールで運行。街を抜けて進むとすぐに、車窓から深い森と点在する鏡のような湖、そして小さく連なる滝などの恵まれた自然を堪能できる。列車が高みに出るとぐるりと視界を紅葉が包む。地平の果てまで鮮やかな秋の色に葉を染めた木々が続く様子を、大きな窓からゆっくりと眺めよう。また、そびえるような桁橋(けたばし)やカナディアン・シールドは注目のポイントだ。カナディアン・シールドとは、氷河が表層を削り取りながら移動し、約25億年前の前カンブリア紀の固い岩盤が露出したもので、岩が重なったように見える地層のこと。湖や池がこの地域に無数に残っているのも氷河の活動跡であり、眼前に広がる地球の歴史が感慨深い。地球上で最も古い地層の1つを、ぜひ目に焼き付けておこう。


情緒豊かな渓谷の秋

やがて列車は丘の上から谷底へと150メートル以上の高低差をゆっくりと下り、そそり立つような岩肌を横目に谷底を駆ける。目的地のアガワ渓谷公園には複数のハイキングトレイルがあり、周辺の滝や展望台を巡りハイキングや動物ウォッチングなどを楽しむことができる。列車を降りて、300段ほどの階段を上ってたどり着く高さ75メートルの展望台からの眺めは、疲れも吹き飛ぶ絶景そのものだ。そして、アガワ川沿いの公園に設けられたピクニックエリアでひんやり澄んだ空気とともにランチをとろう。

オンタリオの紅葉と言えば、トロントから北東にセントローレンス川沿いを走る「メープル街道」ばかりに注目が集まりがちだが、今年の秋はちょっと違った趣で惹きつける、渓谷の紅葉に心奪われてみるのもいいだろう。

Photos:Courtesy of Algoma Central Railway/CN

Information

「アガワ渓谷ツアー列車」はほぼ1日をかけてルートを周回するため、1泊あるいは2泊してゆっくり雰囲気を楽しむのがオススメ。スー・セント・マリー市のダウンタウンには、アルゴマ・セントラル鉄道の駅から徒歩圏内に眺めがよいホテルが揃っている。現地までは車で行ってホテルとツアー列車のパックブランを利用する、あるいは飛行機&ホテル&ツアー列車のパックツアーに参加するのが便利だろう。

Agawa Canyon Tour Train

【運行スケジュール】
運行中〜10月11日(月)まで
スー・セント・マリー停車場発8:00 、帰着18:00〜18:30

【チケット料金】
19歳以上 $93.00
ユース $59.00
子ども $37.00(2歳未満は無料)

【購入方法】
電話:1-800-242-9287

*チケットのピックアップは乗車日の前日あるいは当日の朝に。自由席なので30分前には駅に着いていたい。
*チケットの引き換えのために予約書を持参すること。
*当日券も発売されるが、列車は一日1本のみの運行。団体客などが入っている日は特に、満席となって当日券が手に入らないこともあるので予約がおすすめ。

Algoma Central Railway

【場 所】129 Bay St., Sault Ste. Marie
【連絡先】1-800-242-9287
【サイト】www.agawacanyontourtrain.com

アルゴマ・セントラル鉄道では、今回紹介したツアー列車のほか、綿帽子のように雪をかぶった森や凍った滝を観ることができる「スノートレイン」を例年2月から3月上旬の土曜に運行している。また、鉄道全行程470kmを往復する「ツアー・オブ・ザ・ライン」はどこでも乗り降り自由のプランで、鉄道沿いに点在するロッジなどをベースにフィッシングやハイキングを楽しむことができる。

City of Sault Ste. Marie

スー・セント・マリー市には、カジノや博物館があるほか、街の周辺でハイキングやマウンテンバイク、ロッククライミング、カヌー、フィッシングなどが楽しめる。

【サイト】www.saulttourism.com
【トロント市からのアクセス】
飛行機
トロント・ピアソン空港からスー・セント・マリー空港までの所要時間は1時間半。比較的頻繁に運航されている。スー・セント・マリー空港からダウンタウンまでは20キロ程度。レンタカーをする予定のない人は、タクシーかリムジンサービスを利用しよう。また、スー・セント・マリー市内にあるホテルに泊まる人にはシャトルバスサービスが利用できる場合もある。


高速400号から69号経由でサドバリー市(Sudbury)まで北上し、そこから17号を西へスー・セント・マリー市まで。約7〜8時間のドライブだ。

バス
Greyhoundが1日に2本、高速バスを運行している。チケットはトロント・ダウンタウンのバスディーポか、オンライン(www.greyhound.ca)で購入可能。

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