Toronto Reel Asian
International
Film Festival

混じり合い、進化する文化を映像で

(2010年11月05日特集記事)

今年14年目を迎えるトロント・リール・アジアン国際映画祭。世界中で活躍する東アジア、東南アジアの映画製作者による映画、映像作品を集め、映画を通じてカナダの文化の多様性を映し出すこと、アジア文化を背景に持つ人々の芸術的貢献の認知度を高めることを目的としたフェスティバルだ。今回は日本、中国、香港、台湾、韓国、フィリピン、アメリカ、カナダを含む世界12か国から50以上の作品が集まった。

上映作品はアジア文化をコミカルに描いたもの、社会問題をリアルに描写したもの、懐かしく故郷を思い出させるノスタルジックなもの、そして歴史を踏まえたうえでニュージェネレーションとしての視点を加えたものとさまざま。日本からは『トイレット』『ゴールデンスランバー』『ディア・ドクター』など、バラエティに富んだ話題作が出品される。また、日系人監督による深い文化背景を感じさせる作品も揃い、多彩なラインナップ。作り手と観客の距離感が近いこともこの映画祭の魅力の一つで、『トイレット』をはじめ、キャストや監督がゲストとして登場する上映も多い。スクリーンに映るものを享受するだけではなく、実際の作り手の顔を見て、一層作品への愛を深めよう。

また、多数のワークショップやエキスパートを招いての討論会、パーティなども企画されている。スポットライト・プレゼンテーションとして開催される『山村浩二:Mastery of the Form 』は、サクランボを種ごと食べた男の頭から桜の木が生えるという落語の演目を題材にした『頭山』。アカデミー賞にもノミネートされたアニメーション作家、山村浩二監督出席のもと、90年代初頭から近年までの作品を一挙に見ることもできる。同イベントの前には業界シリーズの一環として山村監督を迎えてのマスタークラスも開催。こちらは予約が必要だが無料となっており、よだれモノの貴重な体験ができそうだ。

ギャラリーイベントでは国際的な評価の高い中国人アートスター、ツァオ・フェイによるエキシビション『RMB City』が行なわれる。これはオンライン・アートコミュニティで現実とバーチャル空間の創造的な結びつきを試す実験的プロジェクト。中国の田舎をベースにした、のどかで少しシュールな作品が展開される。

ほかには、10チームのアーティストたちが賞金や来年度の映画祭での上映権をかけて競うコンペティション「So YouThink You Can Pitch?」のフィナーレや映像とライブミュージックがコラボしたアジアポップのダンスパーティ「RiceDreams」などのスペシャルイベントも予定されており、観るだけではない映像の魅力を最大限に生かした誰もが参加できる祭典となっている。

今回は新たな観客にイベントを届けたいと、ダウンタウンを飛び出し、トロントの北にあるリッチモンドヒルにも会場を設置。さらに期間が2日延び、幅広いラインナップやイベントをより楽しむことができる。開催は11月9日から15日までの7日間。年を重ねるごとに存在感を増す映画祭で、アジアの才能のきらめきを感じよう。

 

トイレット

※上・左写真
『かもめ食堂』(06)などで知られる荻上直子監督の最新作。09年にハイパーク周辺を中心に撮影された話題作。― オタク、引きこもりピアニスト、大学生の3兄弟は、母が死の直前に呼び寄せた日本人の祖母と暮らすことになる。英語を解さない「ばーちゃん」と兄弟が次第に心を通わせていく心温まるコメディ。
【日時】11月13日(土) 19時15分〜
【場所】Innis Town Hall(2 Sussex Av.)

Information

Toronto Reel Asian International Film Festival
【日 時】 11 月9 日(火)〜 15 日(月)
【場 所】市内イベント参加各会場
【入場料】
レギュラースクリーニング 一般$12 学生・シニア$10
フェスティバル・パス 一般$80 学生・シニア$65
※学生料金はID の提示要。
【連絡先】 1-888-222-6608
【サイト】www.reelasian.com
チケットはオンライン、電話、あるいはヤング-ダンダス・スクエアの T.O. Tix(映画祭期間前)、Innis Town Hall(映画祭期間中から上映前日)、各劇場ボックスオフィス(上映1時間前)で購入可能。

GOLDEN SLUMBER ゴ ールデンスランバー

伊坂幸太郎の同名小説を映画化。首相暗殺犯に仕立て上げられた宅配便ドライバー青柳の決死の逃避行を描いたスリリングな一作。堺雅人や竹内結子などキャストも実力派。昨年の同映画祭で観客賞を獲得した『フィッシュストーリー』の中村義洋監督による勢いのある作品。
【日時/場所】
11 月12 日(金) 22:00 The Royal Theatre(608 College St.)

The Mountain Thief

世界最大のごみ処分場と言われるフィリピンのパヤタスで生計を立てるフリオと息子のインゴ。生活は貧しいが、彼らは友情や愛情に恵まれ希望を見い出していた― フリオに殺人容疑がかかるまでは…。パヤタスの住人から役者をキャスティングし、彼らの厳しい現実を描いた一作。
【日時/場所】
11 月13 日(土) 17:00 Innis Town Hall(2 Sussex Av.)

DEAR DOCTOR ディア・ドクター

山あいの村で、人々から慕われていた医師が突然失踪する。無医村、高齢者医療といった社会問題を扱いながらも穏やかなタッチで描かれた人間ドラマ。『ゆれる』で数々の映画賞を総なめにした西川美和監督の最新作は、笑福亭鶴瓶の映画初主演作としても話題に。
【日時/場所】
11 月14 日(日) 14:00 Innis Town Hall(2 Sussex Av.)

One Big Hapa Family

日系カナダ人監督ジェフ・千葉・スターンズによる実写とアニメを融合させたドキュメンタリー。100%近くの日系カナダ人が他人種と結婚をしている理由と、その子どもたちが彼らのアイデンティティをどのように受け止めているかをたどった、4年にわたるルーツ探しの旅。
【日時/場所】
11 月14 日16:45 Innis Town Hall(2 Sussex Av.)

Gallants ギャランツ〜シニアドラゴン龍虎激闘

30年間こん睡状態だったカンフーの達人マスター・ローがある日突然、蘇った。彼は、偶然そばにいたひ弱な会社員チョンを昔の生徒だと勘違いし、特訓して武術大会に出場させようとする。ブルース・リー・マニアの間で話題となった爆笑のオマージュ作品。
【日時/場所】
11 月9 日(火)19:00 Bloor Cinema(506 Bloor St W.)

Au Revoir Taipei オーボワ! 台北

舞台は台北。パリへ行った恋人を追うべくフランス語の本を立ち読みする青年カイに、本屋の店員スージーは惹かれていく。しかし、その恋模様がとんだ珍騒動に?! 憎めないキャラクターたちによる、スウィートなロマコメ。
【日時/場所】
11月 14日(日) 20:00 The Royal Theatre(608 College St.)
15日(月) 19:00 Richmond Hill Centre for the Performing Arts(10268 Yonge St.)

 
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