CanAsian
International
Dance Festival

ステップが生む情熱の嵐

(2011年02月18日特集記事)

Ⓒ Kerem Sanliman

ダンスを通じてアジア的な美意識の多様性を広めることを目的に開催されているCanAsian International Dance Festival。10周年を迎える今年の演目はトルコのスーフィーをベースとするコンテンポラリーダンスや、カンボジア人ダンサーによる伝統舞踊にインドの古典舞踊など、ふだん目にする機会のない貴重なものばかり。

こうした民族舞踊は豊作祈願、自然や毎日の営みへの讃美や権力者への奉仕といった、生活に根差した背景によって発達したものだ。宗教的な意味合いを持つものも多く、民族舞踊の装束や化粧、楽器に音楽、舞台装置などのさまざまな要素は、その土地の文化と歴史をそのまま受け継いでいるといえる。発祥の地から遠く離れたトロントでこうしたアジア舞踊に出会えることは、まさに千載一遇のチャンスなのだ。

また今回は、日本の舞踊家、土方巽を中心にして1950年代後半に形成された現代舞踊「暗黒舞踏」のレアなショートフィルムのスクリーニングも行なわれる。当時「前衛的なダンス」という枠組みを飛び出して、モダンダンスの価値観そのものを問う反社会的な芸術運動として燃え上がった「暗黒舞踏」。海外では「BUTOH(ブトー)」と呼ばれ日本独自の前衛的ダンススタイルとして認知されているが、現在の日本では逆輸入的な形で知られることが多い。難しく捉えられがちな分野だが、彼らが生涯をかけて追及した煌めきには一見の価値がある。この機会に足を運んでみては。

Dervish in Progress

プログラム A

Ⓒ Kerem Sanliman

敬虔な信仰生活を重視し、神との合一を目指すイスラム教哲学の1つ、スーフィー。Ziya Azazi による舞はその修行者が行なう、伝統的な「回旋舞踊」に現代的解釈を加えたもの。回旋により感覚が研ぎ澄まされ一種のトランス状態へと導くこの踊りは神秘的な浮遊感を体験させてくれる。
サイト: www.ziya-azazi.com

Ⓒ Max Moser

Information

CanAsian International Dance Festival

【日 時】 プログラム A 2月23日(水)、25日(金)
               プログラム B 2月24日(木)、26日(土) どちらも 20:00 〜
【場 所】 Fleck Dance Theatre(207 Queens Quay W.)
【入場料】一般$30、シニア・学生$25
【連絡先】 416-973-4000
【サイト】 www.canasiandancefestival.com

 

Film Screening

Butoh on Film: Darkness and Light
ダンスフェスティバルに加えて、今年はレアな映画の上映会が開かれる。Donald Richie 監督の「Gisei」、飯村隆彦監督の「バラ色ダンス(Rose - Coloured Dance)」に大内田圭弥監督の「疱瘡譚(The Story of Smallpox)」はそれぞれ50年代、60年代、70年代の土方巽をおさめたショートフィルム。また、「暗黒舞踏」の名を海外に広めた大野一雄の肖像を追ったDaniel Schmid 監督によるドキュメンタリー「ダニエル・シュミットの大野一雄(Kazuo Ohno)」に加え、計7本の短編フィルムが上映される。
【日 時】 2月26日(土)16:00 〜
【場 所】 Harbourfront Centre 内Studio Theatre
               (235 Queens Quay W.)
【入場料】 $10 ※プログラムA 、B いずれかのチケット購入で$5に。
               ※鑑賞は19 歳以上のみ。

Tribal Crackling Wind
/ Peter Chin

プログラム B

 

3点ともⒸ 2009 Jeremy Mimnagh

トロントを拠点とする総合舞台芸術カンパニーの最新作は、カンボジアのダンサーたちとのコラボ。1970年代のポル・ポト政権による圧政と伝統文化の破壊。世界を驚愕させたこの事件を生き延びたクメールダンサーたちが再建を試みるステージでは、秘めた使命感が静かに燃えている。
サイト:www.tribalcracklingwind.ca

Korea Pulsing

プログラム B

Ⓒ Hugo Li

韓国民謡として有名なアリランと現代音楽が融合。独特の3拍子にのせたパフォーマンスは伝統楽器ジャンゴを用いた舞踊あり、モダンな創作ダンスありの3部構成。軽やかなパーカッションと美麗な衣装を堪能して。
サイト:www.koreandance.net

Tarana

プログラム B

北インド宮廷舞踊カタックは、2500年の歴史を誇るインド4大古典舞踊の1つ。ヒンドゥー教の戦いの女神ドゥルガーに敬意を表すDevi、インド神話の英雄クリシュナをテーマにしたLucknow's Jewel、複雑なリズムパターンとダイナミックな所作が注目のTaranaの3部構成で、生命の源泉を感じさせる。
サイト:www.bageshree.com

Nuit Nacht Notte

プログラム A

Ⓒ Shin Koseki

昨年この世を去った日本人舞踏家、大野一雄へのオマージュとなるステージは、彼の「人生は死と切り離せない」という言葉がテーマ。クラシックダンス、マイム、演劇など多岐にわたる経験を積んだ女性ダンサーがどう肉体を操るのか、ぜひその目で確かめて。

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