Toronto Japanese
Short Film Festival
2011

色とりどりの才能で魅せる短編映画祭

(2011年03月04日特集記事)

昨今急速に認知度を高めているショートフィルム。日本の気鋭アーティストの作品をトロントでもより多くの人に鑑賞してもらいたいと始まった Toronto JapaneseShort Film Festival も今年で8回目の開催となる。国内外で活躍する日本人監督作品に加え、日本をテーマにした作品などこれまでに通算約195作品が上映され、トロントの人々にカジュアルな日本文化を紹介してきた。

今年は「モモ」「ナシ」「イチゴ」「ミカン」「リンゴ」の5つのプログラムが用意されている。それぞれドキュメンタリーにコメディ、ドラマにアニメーションなど、多彩なジャンルの短編映画の詰め合わせが楽しめる、見ごたえのあるプログラムだ。

おすすめはカンヌ、ベルリンなど世界の著名映画祭で名を馳せ、注目を集めている平林勇監督を特集した「モモ」プログラム。数々のテレビコマーシャルを手がけるCMディレクターとして活躍するかたわら監督したショートフィルムは、これまで130以上の国際映画祭で上映され、多数の賞を受賞している。2010年のカンヌ国際映画祭に正式招待された『Shikasha』や最新のアニメーション作品『KIBISO』など、彼の手による6つのフィルムが一挙に上演される貴重な機会なので、ぜひ堪能して。

また、「ナシ」プログラムで上映されるのは『伊豆の踊子』などで知られる文豪・川端康成による短編集『掌の小説』からセレクトされた「愛」と「静」がテーマの4話のオムニバス・ムービー。若手監督4人が映画化したこれらの作品は、全編を通じて映し出される「桜」のテーマが川端特有の清涼感と合わさって、美しく記憶に残る情景を生み出す。

そして今年初めての試みとして、入場無料のトーク&スクリーニングイベントが開催される。日本人監督とともにカナダ最大のショートフィルム映画祭WorldwideShort Film Festival 推薦のトロント人監督らが出席することになっており、作り手と観客の距離がぐっと近づく一夜になりそう。

ショートフィルムは、その短さのおかげで気軽に楽しめるのが大きな魅力の1つ。そのうえ作品を構成する要素が吟味されており、「映画の中で起こることはどんな小さな出来事もすべて必然」という濃密な世界が満喫できる、凝縮されたエンターテイメントだ。「何を映して何を映さないか」という取捨選択を行なった監督の感性に心を沿わせ、数多のドラマを閉じ込めたショートフィルムの面白さを感じたい。

MOMOプログラム

3月18日(金)、20日(日)19:00 〜

TEXTISM  (トップ写真)

「桜の樹の下には屍体が埋まっている」のかどうかを調べ続けた男の最後の物語や、体が死に意識だけが残った男の物語など、「生と死」「愛と記憶」を扱った3つのTEXTで構成されるオムニバス。3話を通して流れる人工的な音声による語りが、無機質なのに情を感じさせる不思議を体験して。

監督:平林勇 制作年:2003上映時間:11分

A Story Constructed of 17 Pieces of Space and 1 Maggot
(十七個の空間と一匹のウジ虫で構成された作品)
  (上写真)

医療ミスによって命を落とし、ウジ虫に生まれ変わった男の独白。人間だったころはアーティストだった彼が、前世と現状について考察する。やがて彼はハエとなり、第3の生へと進んでゆく…。

監督:平林勇 制作年:2007上映時間:14分

infomation


Toronto Japanese Short Film Festival 2011
【日 時】 3 月17 日(木)〜 20 日(日)
【場 所】Innis Townhall Theatre(2 Sussex Ave.)
【入場料】1プログラム… 前売り $ 8、一般$11
               5プログラム… 前売り$30、一般$35
               Closing Party… $12 ※ビール1杯、軽食、おみやげ付き
               ※CENtRAL(603 Markham St.)にて、参加は19歳以上の方のみ
【前売り】Queen Video(480 Bloor St. W. /412 Queen St. W.)
               SANKO(730 Queen St. W.)
【サイト】tjsff.com

トーク&スクリーニングイベント
【日 時】 3月17日(木)19:00 〜
【場 所】ジャパンファウンデーション・トロント(131 Bloor St. W., 2Fl.)
【入場料】 無料


NASHIプログラム

3月19日(土)15:30〜、20日(日)17:15〜

Episode 1: The Unsmiling Man
第1話:笑わぬ男

吹越満主演。売れない作家とその妻は貧乏暮し。死期が近いと感じる妻は時折、足がさみしいと言い、足を握って欲しいと夫に頼む。夫は死が彼女の足元からやってくるように感じて…。

監督:岸本司 制作年:2009上映時間:20分

Episode 4: Immortality
第4話:不死

香椎由宇、奥村公延主演。来る日も来る日も桜の木の下で凧を揚げる老人・新太郎。彼はある日、自殺した昔の恋人に再会を果たす。恋人は「そろそろ行きましょう」と新太郎の手をとって…。

監督:高橋雄弥 制作年:2009上映時間:10分

RINGOプログラム

3月18日(金)22:30〜、19日(土)20:45〜

Getting Dressed
服を着るまで

引きこもりの少女の日常は、鳥にえさをあげて部屋の窓から町を眺めること。引きこもりゆえに、彼女は服を着る必要がない。服を着ることと社会の一部であることの意味を考える1作。

監督:北村愛子 制作年:2010上映時間:9分

Love Mouse
恋するネズミ

チーズに恋したネズミの物語。ネコポリスからの逃走劇にウシの切ない過去が涙を誘う。淡々とした語り口がもたらす緊迫感にドキドキが止まらない。ネズミは愛するチーズを守れるのか?!

監督:日高晋作 制作年:2009上映時間:14分

MIKANプログラム

3月18日(金)20:45〜、19日(土)19:00 〜

Jellyfish Boy
くらげくん

ガキ大将気質の虎太郎には乙女な親友の「くらげくん」がいる。くらげくんは虎太郎が大好き。ところが引っ越しで離ればなれになってしまう2人…くらげくんの想いは届くのか?少し懐かしくてほほえましいひと時が楽しめる。

監督:片岡翔 制作年:2009上映時間:14分

Little Red Hood and Health
赤ずきんと健康

狼に食べられた赤ずきんちゃんが、彼の体内で臓器の精たちに出会う。赤ずきんちゃんはメタボな狼が抱える問題を解決してあげるため、ドライブに出かける。誰もが知る童話がシュールな話運びで笑える小噺に変身!

監督:井上涼 制作年:2007上映時間:6分

ICHIGOプログラム

3月19日(土)17:15〜、20日(日)15:30〜

Drowsy Teacher!
眠らせ先生!

睡魔との戦いを描いたアニメーション。学内で最も学生の眠気を誘う授業を行なう教授と、必死で睡魔に抗う学生の授業中のワンシーン。教授の手に次々と落ち、"船をこぐ"生徒たちの様子がコミカルに描かれている。

監督:野中晶史 制作年:2009上映時間:3分

VORTEX
渦中のひと

女優と暮らす監督のもとに1人の女が訪ねてくる。彼女は監督の昔の女。わざわざ訪ねてきた彼女の企みとは一体?美男美女の元カップルが放つミステリアスかつコミカルな雰囲気にラストまで目を離せない。

監督:伊刀嘉紘 制作年:2005上映時間:19分

Other Must-See Films


Conversation with Nature(自然との対話)

人と木は翻訳マシーンを通して対話することができるようになった。いつの間にか予想外の方向へ進んでいく対話の行きつく先は…?哲学的でもあり、滑稽でもあり、人間の真実を映し出したとも言える「自然に優しく」の本当の意味とは。

監督:平林勇 制作年:2005上映時間:5分

It's All in the Fingers

巨大な「指」が襲ってきた。その時ホワイトハウスでは、大統領が大量破壊兵器についての声明を発表?!オムニバス形式の「指」物語3本立てはアイロニーのきいた作品に仕上がっている。

監督:石川慶 制作年:2009上映時間:10分

Two-Timer(最低)

亜美のもとにストーカーからのDVDが届く。そこには同棲相手の浮気現場が映っているかも?自分で見る気がしない亜美は妹にそれを頼むことにして…。ダメ恋愛は意外とダメじゃない…かもしれない。

監督:今泉力哉 制作年:2009上映時間:34分

KUDAN

半人半牛の妖怪「件」は人語を話し、生まれて3日で死ぬがその間に必ず当たる予言を残す。そんな意味不明な生き物を媒介に「誰かにとっての不条理=ほかの誰かにとっての必然」という多面的な世界を描くことに挑戦した作品。

監督:木村卓 制作年:2008上映時間:9分

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